首都高速道路会社は今後の大規模更新・修繕で、橋梁の抜本的な対策として径間単位で全面的な補修補強を行い、新たな損傷の発生・進行の抑制と長期耐久性の向上を同時に図る方針だ。主なメニューに塗装の高耐久化や床版の耐久性向上、支承部の構造改良を挙げている。9月20日の技術検討委員会(委員長=前川宏一横浜国立大学大学院教授)に提示した。
主なメニューの中身や事業規模を見ると、塗装の高耐久化では、下地に塩化ゴム系・鉛丹系塗料を用いた塗膜が下地付近から広範囲に剥がれ落ちる事象が顕在化しているため塗り替えを検討。延長約104`に上る対象橋梁のうち、年次の古い約42`を優先的に塗り替えていく考え。
床版の耐久性向上は、厚さが18a以下で鉄筋量が少ないものに上面増厚を施すことを検討。対象橋梁は延長約86`ある。
支承部の構造改良については、桁の連続化やI桁化などで維持管理性と耐力を改善する他、損傷した支承の取り換えを検討。外観から損傷を見ることが困難な切り欠き構造(箱桁)を持つ支承部が約720カ所存在している。
これら以外にも腐食部の補強やRC橋脚のコンクリート片剥落防止対策、破断の恐れのある高力ボルトの取り換えなどを組み合わせて実施することを検討していく。
また、羽田トンネルの抜本的な対策に向けて主なメニューを提示。トンネル部で▽中床版の補修・更新▽躯体のせん断補強▽目地部構造部材の取り換え▽止水注入―などを列挙した。防災施設などを耐塩害仕様や高耐食性仕様に更新したり、移設や嵩上げなどで水没リスクを回避したりすることも検討するとしている。
今後の大規模更新・修繕を巡っては、中央環状線の西側で3号線と4号線の相互迂回(うかい)を可能にする付加車線設置や合流部改良などの機能強化策も含めて技術検討委で議論中。年内に技術検討委の最終取りまとめを得るなどして、2024年度の事業着手を目指す。
提供:建通新聞社