東京都水道局は新玉川給水所の築造に伴う基本設計などの業務をパシフィックコンサルタンツ(千代田区)に委託した。廃止する玉川浄水場(世田谷区)の敷地を活用し、隣接する玉川給水所の能力を補完して配水区域を広げるための施設とする方針。配水区域を検討しながら容量や施設配置などを詰め、履行期限340日で成果を得て後続の業務につなげる。2024年度内の着工を目指している。
廃止する玉川浄水場は世田谷区田園調布1ノ19(敷地面積7万8410平方b)に立地。原水の水質悪化で1970年に上水道の事業を休止し、79年から工業用水道の施設として使用してきたものの、需要の減少などを背景に工業用水道の事業自体を2022年度末で廃止する。
このため廃止後の敷地を新玉川給水所の築造に活用することになった。
一方、隣接地にある玉川給水所は配水池2池で合計6万立方bの容量を持つ。配水系統は三郷・朝霞・三園・砧・長沢系。運用を継続しつつ、新玉川給水所と連絡管で接続するなどして、配水区域を大田区や品川区を含めた区部の南側方面に広げたい考え。
新玉川給水所の築造に当たっては、再利用できない工業用水道の薬品沈殿池(4池)や混和設備(フロック形成池2池)などを撤去して、新たな配水池を整備したり、既存のポンプ施設を更新したりする方針。配水管については既設の利用をベースとしつつ、地形や水圧などの面から効率的な運用が見込めない場合は新設も検討する。
これらを踏まえ今回の基本設計では、計画1日最大配水量の12時間分の確保を目安として新玉川給水所の配水池の容量や施設配置などを詰める。また、既存施設の撤去に向けた実施設計もまとめてもらう。
業務委託先を決める希望制指名競争入札(9月7日開札)にはパシフィックコンサルタンツのみ参加。1億2960万円(税抜き、以下同じ)で応札して落札者に決まった。事後公表の予定価格は1億7383万9000円で、落札率は74・5%だった。
提供:建通新聞社