国土交通省がまとめた2023年度の「各省各庁営繕計画書に関する意見書」によると、国の省庁が東京都内で23年度以降の工事着手を目指す営繕事業のうち、新営関係では法務省と財務省がそれぞれ葛飾区内に延べ床面積2万平方b超の宿舎を建設する計画が新規に盛り込まれた。また、修繕関係では最高裁判所が東京高等・地方・簡易裁判所のアスベスト対策の全体額を245億円と見積もった他、内閣が内閣総理大臣官邸の建築設備改修、厚生労働省が国立感染症研究所戸山庁舎の機能強化改修を新たに計画した。
新営関係の新規のうち、法務省が葛飾区内に計画する宿舎は東京拘置所の施設。老朽化や防災機能の不備を理由に挙げ、規模を鉄筋コンクリート造と木造で11階建て他の延べ床面積2万0862平方b、工期を24〜27年度の4カ年、全体額を92億4116万円(23年度計画額なし)とした。新営関係で6段階ある緊急度判定は2番目に高い「A」だ。
国家公務員宿舎の移転・再配置に関する有識者会議の報告(06年6月)によると、法務省は葛飾区内にある345戸の宿舎の移転が困難だとしていた。
また、財務省が葛飾区内に計画する宿舎は「関東財務局小菅第2住宅(仮称)」。法令などを理由に、規模を鉄筋コンクリート造14階建て延べ2万2665平方b、工期を28〜30年度の3カ年、全体額を88億6979万円(23年度計画額なし)とした。「特定国有財産整備計画に基づく計画」との位置付けで、緊急度判定は最も高い「特A」となっている。
財務省ではかつて東京拘置所の建て替えで生じた余剰地を利用して、PFI手法で小菅住宅(約1200戸、10年6月完成)を整備している。
新営関係の新規には、防衛省による防衛装備庁次世代装備研究所の実験棟(目黒区)や、試験棟と電波暗室(立川市)もある。実験棟は延べ床面積1万1500平方bで、付属施設を含め工期が23〜25年度、全体額が61億4000万円(23年度計画額2億8000万円)。また、試験棟と電波暗室はそれぞれ延べ床面積が5800平方b、2200平方bで、工期を23〜25年度、全体額を62億2000万円(23年度計画額2億8000万円)とした。いずれも緊急度判定は「特A」だ。
【最高裁 東京高地簡裁アスベスト対策は245億円】
一方、修繕関係で最高裁による東京高等・地方・簡易裁判所(千代田区)のアスベスト対策は、22年度の意見書では工期を23〜31年度の9カ年としながらも、全体額は未定となっていた。修繕関係で4段階の緊急度判定は「留保」扱いだった。
これに対し、23年度の意見書では全体額を245億円、うち23年度計画額を16億8812万円と明示。緊急度判定は最も高い「A」になった。
東京高等・地方・簡易裁判所は地下3階地上19階建てで延べ床面積14万0363平方b(1983年完成)。最高裁では「内部改修」に伴う実施設計業務の委託先を9月中に決定し、2024年度末までに業務成果を得て工事につなげる方針だ。
修繕関係の新規のうち、内閣による総理大臣官邸(千代田区)の建物設備改修は工期が23〜27年度、全体額が54億8228万円(23年度計画額13億5355万円)で、緊急度判定は「留保」。厚労省による感染研戸山庁舎(新宿区)の機能強化改修は工期が23〜24年度、全体額が36億9211万円(23年度計画額22億6362万円)で、緊急度判定が「A」となっている。
提供:建通新聞社