東京都は、新築建築物の建築主または供給事業者に義務付ける太陽光発電設備の設置基準をまとめた。延べ床面積2000平方b以上の大規模建築物に関しては、原則として建築面積の5%を目安に設置基準面積を算定する方針。条例改正に向けて9月に基本方針を公表して、都議会の審議を経た後、一定の周知期間を設けて施行する予定。制度設計を担う技術検討会で対象となる事業者から意見を募るため、参加希望者を8月12日まで受け付けている。
都は2030年までに温室効果ガスの排出量を00年比で50%削減する「カーボンハーフ」の取り組みとして、新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務付ける。条例改正で対応するため、8月1日に条例制度改正の基本方針案を公表。並行して、有識者で構成する技術検討会で具体的な基準値の設定を含めた制度設計を進めている。
マンションやビルなど延べ床面積2000平方b以上の大規模建築物については現在、「建築物環境計画書制度」で建築主に対し、環境配慮への取り組みを定めている。この制度を強化・拡充して、新築建築物に再生可能エネルギー発電設備の設置を義務付ける方針。
基本方針案と8月1、3日の検討委員会で都が説明した内容によると、太陽光発電設備の設置箇所は、原則として対象建築物または敷地内とする。「建築面積×5%」を目安としつつ、屋上緑化面積や日陰面積、屋上設置時に必要な建築設備がある場合など建物ごとの実態を踏まえて設置可能面積を設定。併せて建物の延べ床面積によって設置可能面積の上限と下限を設ける。小型風力発電やバイオマス発電、太陽熱利用設備、地中熱利用設備などの導入が予定されている場合は、太陽光発電設備の代替として取り扱うことを認める。
一方、延べ床面積2000平方b未満の中小規模建築物は大規模建築物と比べて着工棟数が多いものの「建築物環境計画書制度」の対象外となっていたことから、新たに「建築物環境報告書制度(仮称)」を新設する。都内で年間合計延べ床面積2万平方b以上の住宅を供給している事業者が対象で、50社程度が該当する見込み。
この対象事業者に対し、「設置可能棟数×算定基準率×棟当たり基準量」で算出した太陽光発電設備の設置を義務付ける。設置可能棟数は、屋根面積が20平方b未満の場合など、物理的に設置が困難な場合は除く。算定基準率は、都内を3区域に分けて設定する予定。棟当たり基準量は2`hとし、災害時の生活に必要な最低限の電力を確保できるようにする。
これらの基準について今後の技術検討会で詳細を詰める。次回8月24日開催の会合で、対象事業者などから意見を募る予定となっている。
提供:建通新聞社