国土交通省関東地方整備局は営繕分野のDXで、BIMデータの円滑な受け渡しを実現するため2022年度にEIR(発注者情報要件)を適用した設計BIMと施工BIMを初試行する。対象案件は下期の発注を予定する「横浜法務総合庁舎(22)設計業務」と「長野第1地方合同庁舎A棟(仮称)(22)建築工事」。これまで設計、施工で個別に作成していたBIMデータの受け渡し方法について効果を検証する。
EIRは特定のプロジェクトで発注者が求めるBIMデータの詳細度、プロジェクト過程、運用方法、契約上の役割分担などを定めた発注要件。受注者選定や契約に先立って、特記仕様書の一部として入札などの参加者に提示される。
試行する2案件のEIRには、BIMデータの円滑な受け渡しのためにBEP(BIM実行計画書)の作成などが盛り込まれる。
BEPは参加者が発注者に対してBIMの使い方を提案するもの。入札などの段階から契約までに@発注者が参加者に必要なデータなどの発注要件を提示=ひな型BEPA参加者がBIMを用いた実行計画を発注者へ提案=契約前BEPB受注者決定CBIM標準ガイドラインやEIRを参照しながらBEPを更新し、双方で合意して共有=契約後BEP―を経る。
試行する2案件を個々に見ると、「横浜法務総合庁舎(22)設計業務」は横浜市中区で鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上11階建て延べ1万7700平方bの施設を整備するためのもの。公募型プロポーザル方式で第3四半期に委託先を決める見通しだ。
主な試行内容に▽BEPの作成▽3次元による建物外観と内観の一部提示・調整▽干渉チェック▽実施設計図書の作成▽工事受注者への引き継ぎ資料の作成―などを挙げる。
また、BEPに記載する項目は@BIMソフトウエアの種類とバージョンABIMソフトウエア以外に使用するソフトウエアの種類、バージョン、使用範囲、使用内容B発注者などへのBIMデータの提示方法C設計段階で作成されたBIMデータ活用の考え方―としている。
一方、「長野第1地方合同庁舎A棟(仮称)(22)建築工事」では、長野市旭町に鉄筋コンクリート造5階建て延べ約5300平方bの施設を建設する。設計は東畑建築事務所(千代田区)。
第4四半期の発注を予定している。
主な試行内容は▽BIM調整会議の実施▽BEPの作成▽受注者による自主的な施工BIMの実施―などとなっている。
提供:建通新聞社