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建通新聞社(東京)
2022/05/26

【東京】都 外濠浄化へ導水路 年度内に基本設計

 東京都は外濠の浄化に向けた導水路の整備に乗り出す。閉鎖水域で水質が悪化しているため、玉川上水と荒川からの水の供給で流れを生み出して改善したい考え。2022年度内に水道局と下水道局がそれぞれ基本設計業務を委託して整備内容を具体化していく。30年代半ばの整備完了を目指す。このほど策定した外濠浄化の基本計画で施設整備の概要やスケジュールを示した。
 外濠のうち市ケ谷濠と新見附濠、牛込濠の3カ所(総延長1・5`、幅60b)は水質悪化に伴うアオコの発生で、悪臭や景観上の問題が起きている。水質改善を進めて水の都・東京≠よみがえらせるため、外濠の浄化に取り組むことにした。
 一方、玉川上水は、江戸時代に多摩川の羽村取水堰から四ツ谷大木戸(四谷四丁目交差点付近)までの延長43`が造られ、多摩川から都市部に生活用水を供給する役割を担っていた。かつては濠池管(ごうちかん)を介して外濠とつながっていたものの、現在では管が使用できない状態のため通水していない。
 長期的には、元の玉川上水と同様に多摩川から取水して外濠に十分な水量を供給することを展望。ただ、当面は外濠への導水に必要な水源・水量の確保と導水路の整備で対応する事業スキームを立案し、基本計画に盛り込んだ。
 それによると、水源は多摩川上流水再生センターの下水再生水と荒川の河川水とした。このうち下水再生水は、多摩川上流水再生センターと玉川上水の上流部がすでに暗渠で接続していることなどから、玉川上水の終端である四ツ谷大木戸と外濠をつなぐ延長2`の導水路を新設して毎秒0・5立方bの水量を外濠に供給する。また、荒川の河川水については玉川上水を介して外濠に導く方針でおり、荒川の秋ケ瀬取水堰と玉川上水をつなぐ複数のルート案を検討中。導水管の新設だけでなく、水道などの既設管渠も活用する考えだ。
 外濠の浄化に向けては都市整備局が全体調整を担い、導水路の設計や施工を水道局と下水道局が受託する。この他、環境局が玉川上水の清流復活事業を継続し、建設局が暫定的な水質改善に取り組む。提供:建通新聞社