東京都の「神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議」(座長=中井検裕東京工業大学大学院教授)は、同地区の都有地をポストコロナのまちづくり≠フ先行事例にするための提言集をまとめ、都に示した。渋谷・青山の地域特性を生かしつつ、将来的な社会的ニーズの変化にも対応できるような空間づくりの必要性を唱えている。今後、都が有識者と行政を交えた新たな検討組織を立ち上げて、都有地の一体的な活用に向けた取り組み内容を具体化する。
同会議は渋谷区神宮前5丁目にある都有地の一体的な活用に向けて、地区全体のまちづくりの大きな方向性を検討するため2021年12月に設立した。対象の敷地は▽旧こどもの城▽都職員共済組合青山病院跡地▽国連大学▽コスモス青山―の4カ所で合計4・5f。
提言集によると、将来の同地区をポストコロナのまちづくり≠フ先行事例にするためのイメージ案として@ウェルビーイングAオープン&フレキシブルBバーチャル&リアル―の視点が必要だと説いた。
今年5月までの5回の会合を通じ、「旧こどもの城」の建物改修で「都民の城(仮称)」を設ける事業についてはコストや環境負荷、スケジュール、土地利用の合理性などを考慮して見送りを決定。4敷地の一体活用を早く開始する方がよいとの結論に至った。
この他の敷地についてもそれぞれ状況が異なっているため、一体活用の検討に当たっては関係者などの意向も踏まえつつ、新たに立ち上げる検討会で具体的な機能や空間形成を具体化していくことになる。
各敷地の現況などを見ると、旧こどもの城は建物を酸素・医療提供ステーションに活用中。青山病院跡地は建物を除却済みだ。
国連大学は国と国連の協定に基づき敷地を無償貸与中で、契約更新期が29年となっているものの、建物については国有財産のため都の判断で取り扱いを決めることができない。コスモス青山は25年までの土地信託契約を結んでおり、建物に入居しているテナントとの賃貸借契約を調整する必要がある。
提供:建通新聞社