東京メトロは2022〜24年度の新たな3カ年中期経営計画を策定し、重点戦略・施策の中で有楽町線と南北線の延伸や自然災害対策、不動産事業の拡大などを挙げた。3カ年の設備投資額は3600億円で、初年度となる22年度の事業計画では1247億円を投じるとした。
有楽町線と南北線の延伸は3月28日に国土交通大臣から鉄道事業の許可を得た。延伸の中身を見ると、有楽町線が豊洲〜住吉間の延長4・8`(総建設費約2690億円)、南北線が品川〜白金高輪間の延長2・5`(総建設費約1310億円)で、地下高速鉄道整備事業費補助と鉄道・運輸機構の都市鉄道融資を元手に建設する予定。環境アセスメントや都市計画の手続きを経て、それぞれ30年代半ばの開業に向けて工事を進める。
自然災害対策では開削トンネルRC中柱などの耐震補強と、駅出入り口・坑口・地上駅・変電所などの浸水対策を提示。このうち浸水対策については36年度の自社施設完了を予定している。また、鉄道駅のバリアフリー化で▽エレベーター整備(複数ルート整備)=築地駅24年度完了、人形町駅25年度完了▽ホームと車両床面の段差・隙間縮小=23年度日比谷線完了▽ホームドア整備=25年度全線完了―を目指す。
不動産事業に関しては神宮前六丁目再開発の23年度完成、新宿駅西口地区再開発の29年度完成をそれぞれ予定。また、赤坂二・六丁目地区や日本橋兜町7地区のまちづくりと連携してバリアフリー動線などを整備するとした。駅直結商業施設の開発や高架下商業施設のリニューアル着手を含む流通事業も展開する。
3カ年の設備投資額は前期(19〜21年度)に比べ26・5%の減。項目別に▽自然災害対策=80億円(52・9%減)▽安全対策=1360億円(28%減)▽輸送改善=290億円(35・6%減)▽その他(業務システム改良、新技術開発)=290億円(6・5%減)▽都市・生活創造事業(不動産事業、流通事業他)=440億円(57・1%増)▽旅客サービス(バリアフリー設備整備他)=1140億円(36・7%減)―と見積もった。
一方、初年度となる22年度の設備投資額は前年度に比べ2・3%増で、自然災害対策に42億円(5%増)、安全対策に612億円(22・4%増)、輸送改善に117億円(31・2%減)、都市・生活創造事業に49億円(40%増)、旅客サービスに288億円(24・2%減)などを配分。さらに有楽町線と南北線の延伸に絡む新線建設へ34億6700万円を充当し、工事着手に向けた取り組みを推進するとしている。
提供:建通新聞社