東京都建設局は2022年度に委託の履行期限を4〜12月とする案件の割合を「50%以上」に増やす。委託のうち測量では、総合評価方式とプロポーザル方式の適用率の目標を「4割以上」に引き上げる。工事については引き続き、平準化率を「0・9以上」とする目標などを掲げる。3月17日の「建設局事業における公共工事の品質確保の促進に関するアドバイザリー会議」に、これらを盛る22年度の取り組み方針案を示した。
建設局では同局の工事と委託で、▽品質確保▽働き方改革への対応▽担い手の確保・育成▽生産性向上(建設DX)―の観点から毎年度目標を定めるなどして取り組んでいる。
個々に見ると、働き方改革への対応は早期発注や債務負担行為の活用などによる平準化がテーマの一つ。委託では履行期限を4〜12月とする案件の割合を増やしてきた中で、22年度は「50%以上」と21年度の「45%以上」より5%高い目標を定めてさらなる増加を目指す。3月履行期限を原則禁止にしたり、債務負担を活用した案件の履行期限を原則12月までとしたりする対応は継続する。
工事に関しては、21年度に平準化率(年度の平均稼働件数と4〜6月の平均稼働件数の比率)の目標を「0・9以上」と設定。ただ、緊急事態宣言の発令で20年度末に早期発注できなかったことから達成が難しい情勢だ。このため22年度は目標を据え置きつつ、21年度にも増して平準化に取り組んでいく。
また、時間外労働の上限規制(24年度施行)を見据え、常設作業帯の設置が難しい路上工事は現場条件に合わせて設計変更(労務費補正、工期延伸など)ができるよう21年10月に基準を改定しており、受注者への周知を継続して働き方改革を後押しする。
一方、品質確保の面では土木設計、測量、地質調査の委託にプロポーザル方式と総合評価方式を取り入れ、2方式を合わせた適用率の目標を定めている。このうち測量は3年連続で目標の「3割以上」を超えたことから、22年度は目標を「4割以上」に引き上げる。土木設計は「6割以上」、地質調査では「4割以上」する目標については22年度も変えない。
測量は平均入札希望参加者数が16・4社で、土木設計の5・9社、地質調査の6・1社に比べて多い。このため、測量など入札参加希望者が多い案件の総合評価では「簡易確認型」を実施して、事務負担の軽減を図る。
具体的には、入札参加希望者が提出した「簡易技術資料」から算出した技術点と価格点で数社の落札候補者を決め、候補者のみ「詳細技術資料」の提出を求めて審査する。
工事の総合評価については21年度の取り組みを継続。WTO案件は総合評価を積極的に活用するとともに、WTO案件以外の財務局案件は総合評価を原則適用する。事務所契約案件は各事務所で総合評価の適用方針を定めつつ、「技術力評価型」と「技術提案型」を各事務所1件以上適用することを目標とする。
担い手の育成・確保では、21年度から単価契約などを除く原則全ての土木工事を週休2日制確保工事として発注しており、22年度も継続する。
21年度は全土木工事799件(1月以降の契約予定も含む)のうち、約73%に当たる590件を週休2日制工事として発注した。12月末までに契約した385件のうち、週休2日制を実現できなかった受注者は0・5%の2件だったという。
生産性の向上に関しては、ICT活用工事の推進やBIM/CIMの活用に取り組むこととした。
提供:建通新聞社