東京都は、歩行者中心の公共空間に転換するKK線について、現在の施設所有者である東京高速道路を整備主体とする方針を固めた。周辺のまちづくりとも連携して階段やエレベーターなどの縦動線も確保し、地域の回遊性を高めていく。整備見込み額は縦動線も含め約140億円と試算。段階的な整備と供用開始を経て、2030〜40年代の全区間完了を目指す。2月9日にこれらの考え方を盛る「東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針」の中間まとめ案を公表した。
KK線は中央区銀座8丁目(蓬莱橋)〜銀座1丁目(新京橋)の総延長約2`。高架施設の上部を無料の自動車専用道路として活用し、首都高速道路の都心環状線と八重洲線に接続している。都心環状線・日本橋区間の将来的な地下化に伴いKK線を廃止し、上部空間を開放的な緑豊かな歩行者空間「Tokyo Sky Corridor」に転換する計画だ。
現在は都が土地を東京高速道路に賃貸し、同社が高架下のテナント賃料で管理運営費を賄っている。中間まとめ案によると、KK線を再生する際にもこのスキームを継承し、東京高速道路が上部空間を整備して、管理運営も引き継ぐとした。
ただ、有楽町駅周辺や八重洲二丁目南地区、京橋三丁目東地区などKK線に近接する区域で再開発が検討されている場合には、それらの開発事業主が整備することも可能だとしている。
上部空間の幅員は約12〜33b。次世代モビリティの走行空間(幅員約3b)を確保しつつ、幅員12bの外堀通り周辺区間には歩行者の通行空間にベンチや植栽などを配置。この他の幅員が広い区間には、眺望を楽しむ滞留スペースを整備したい考え。次世代モビリティの乗降空間やワゴンカーなどを配置できる場所も確保する。
上部空間と地上をつなぐ階段やエレベーターなどの縦動線は、基本的にKK線の既存の出入り口や公共用地へ設置する。周辺のまちづくりに併せた確保についても関係者と調整していく。
提供:建通新聞社