東京都港湾審議会(会長・工藤泰三日本郵船株式会社特別顧問)は、東京港港湾計画の第9次改訂に向けた指針となる長期構想を都に答申した。コンテナ貨物量の増加に対応するための新規ふ頭の整備や災害時の物流機能維持など、2040年代を見据えた東京港の将来像を示した。都は答申を受け、22〜23年度に港湾計画の改訂作業を進める予定だ。
長期構想は、20年程度の長期的な視点で港湾空間の在り方を整理するもの。一方、港湾計画は、長期構想に基づいて港湾の能力や港湾施設の規模・配置、土地利用計画などをおおむね10年ごとに定めている。現在は14年度に策定した第8次改訂港湾計画の期間中だ。
今回答申した長期構想のうちハード面に関する項目を見ると、外貿・内貿コンテナ貨物量の増加や船舶の大型化に対応するため、中央防波堤外側・新海面処分場で大水深岸壁を持つ新規ふ頭を整備するよう明記。Y3岸壁(中央防波堤外側処分場、延長400bを事業中)を整備するとともに、Z1岸壁(新海面処分場、既定計画は延長420b)の機能を拡充するよう求めた。
実現すれば、既設のY2岸壁(中央防波堤外側、延長400b)も含めて延長約1700b、水深16b以上の連続バースが完成することになる。
加えて、岸壁の増深やガントリークレーンの大型化などで既存ふ頭を再編整備することの必要性も唱えた。
また、災害時にも物流機能を確保できるようにするため、新規ふ頭の整備や既存ふ頭の再編整備に当たっては、耐震強化岸壁と免震クレーンを整備すべきだとした。
港湾施設の予防保全型維持管理に向けては、長大な橋梁やトンネルは更新工事が難しいため大規模改修を計画的に実施して長寿命化を図るべきだと指摘。点検・診断にはAIやドローンといった最先端技術を導入するとともに、港湾工事でもICTを積極的に活用するなどして、調査・設計・施工・維持管理の全工程で省力化と効率化に取り組むよう求めている。
提供:建通新聞社