東京都は、島しょ地域にある都道の延長約170`と、18港・5空港の無電柱化を加速させる。2030年代を目標として整備箇所や優先順位を盛る「島しょ地域無電柱化整備計画」を策定した。都道については、まず被災リスクの高い大島など4島内の10・7`を25年度までに整備完了させる。港・空港では島の玄関口となる4港2空港を優先して25年度までに完了させる予定。激甚化する自然災害が起こっても島内で停電や通信障害が発生しないよう電柱のない島≠フ実現に取り組む。
都は21年6月に無電柱化計画を改定し、都内全体の40年代に向けた基本的な方針や目標を定めている。今回はこのうち島しょ地域の整備計画として、都道と港・空港のそれぞれで具体的な整備の方針や内容、箇所を示した。
それによると、都道での無電柱化の対象は総延長約240`のうちの約170`。生活地域や公共施設への電力供給、通信の確保に必要な区間を選んでおり、「緊急整備区間」(延長10・7`)、「優先整備区間」(37・7`)、「一般整備区間」(107・7`)の三つに分類して整備を進めていく。加えて、拡幅整備や歩道設置などの事業が実施または予定されている区間(9・8`)は、それらの事業に併せて無電柱化を実施する。
分類ごとに見ると、「緊急整備区間」は被災履歴や立地特性から被災リスクが高い区間などで、島別に▽大島(2・7`)▽新島(3・2`)▽三宅島(2・5`)▽母島(2・3`)―を無電柱化の対象とした。25年度までに完了させる。「優先整備区間」は発電所や通信拠点と人口集中地域をつなぐなど、島内で広範囲の停電・通信障害を防ぐ上で効果が大きい区間。30年度までに完了させる。これら以外の「一般整備区間」は30年代の完了を目指す。
一方、島の玄関口として重要な18港と5空港の周辺でも無電柱化を実施する。このうち大島元町港や新島空港など4港2空港は25年度までに整備を完了させる予定。利島港など8港3空港は30年度までに、残りの岡田港など6港は30年代の整備完了を目指す。
この他、町村道に関しては、多くの電柱が道路外に設置されているだけでなく、沢を横断する道路や急斜面沿いの道路が多いといった島しょ地域特有の課題がある。
このため、先行的に整備する島を22年度の早期に選び、整備や維持管理に関する諸課題について技術面と経済性、執行体制、事業スキームなどの観点から検討を進める。
提供:建通新聞社