国土交通省関東地方整備局は羽田空港(大田区)の鉄道基盤施設整備で、JR新線の開削部躯体築造にECIを採用する方針を固めた。設計段階から施工者のノウハウを反映させて、施工場所の狭さなどの技術的課題を踏まえた設計と施工を可能にするため。2021年度内にも詳細設計と技術協力業務・工事の発注手続きをそれぞれスタートし、22年度の第1〜第2四半期に委託先や優先交渉権者を決定。22年度末までに詳細設計の成果を得るなどして23年度の本体工事着手につなげる。
羽田空港の鉄道基盤施設整備はJR東日本羽田空港アクセス線・新線建設区間の終点側約2・4`(JR新線)と、京急空港線の羽田空港第1・第2ターミナル駅引き上げ線約330b(京急引き上げ線)が対象。このうちJR新線は軌道などを収めるシールド部約1・9`と新駅などの開削部約500bで構成させる。まず23年度にJR新線の開削部から本体工事に着手して、京急引き上げ線を含め30年ごろの全工程完了を目指す。
JR新線の開削部は空港のP3駐車場と国道357号の間を走る空港構内道路の下などに躯体を築造する。有識者らによる委員会で▽高低差の偏土圧▽施工場所の狭さ(駐車場、周回道路、国道の供用維持)▽軟弱地盤対策(埋土層〜軟弱粘性土層)―といった課題への対応策を議論中だ。また、新駅の過半を対象とした基本設計をパシフィックコンサルタンツ(千代田区)が2月28日納期で進めている。
ECIを含む多様な入札契約方式を検討してきた中で、1月期の発注見通しに「開削トンネル(P3駐車場前面部)詳細設計」と、ECIに対応する「開削部(P3駐車場部)躯体築造工事に係る技術協力業務」を盛り込んだ。
このうち詳細設計は簡易公募型プロポーザル(業種・建設コンサルタント等)で22年度第1四半期に委託先を決定。履行期間約11カ月で成果を得る。
一方、技術協力業務に関しては、公募型プロポーザル方式(建設コンサルタント等)で22年度第2四半期に優先交渉権者を決定。履行期間約8カ月で詳細設計に施工技術を反映してもらうとともに、価格交渉を行って合意に至れば工事を随意契約で発注する。プロポの手続き開始の時点で工事に関する資格要件なども示すことになる。
提供:建通新聞社