国土交通省関東地方整備局は、2050年に二酸化炭素排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする政府目標の達成に向け、インフラ分野で二酸化炭素を削減するための研究に着手する。いわゆる「戻りコン」の再利用過程で二酸化炭素を取り込み、コンクリート舗装の材料を製造する技術の開発に取り組む。横浜国立大学大学院の細田暁教授、コンクリート製造企業と共同で23年度までの3カ年で研究開発を進め、二酸化炭素の排出抑制と年間100万〜200万立方b発生するといわれる戻りコンの有効活用を目指す。
研究機関が保有する新技術の種(シーズ)と行政ニーズをすりあわせるマッチングの取り組みで採択し、11月24日に通知した。毎年度500万円を目安に費用を助成して研究開発を進めてもらう。
今回の研究開発では、現場で打設することなく工場に戻されるコンクリートを資源と捉え、再利用を模索。アジテータ車などの排気ガスに含まれる二酸化炭素を活用し、コンクリートスラッジからコンクリート用混和材を生産して、戻りコンと合わせて新たに舗装用の造粒ポーラスコンクリートを製造する技術の確立を目指す。
製造過程で二酸化炭素を排出するコンクリートの再利用に加え、廃棄処分に手間のかかるスラッジの有効活用、アジテータ車などから排出される二酸化炭素の固定にもつなげる。コンクリートに関わる複数の工程で無駄をなくし、インフラ分野のカーボンニュートラル実現の一助とする。
マッチングではこの他、インフラ分野のDX推進に向けた研究として▽偏光画像処理に基づく路面状況の判別▽ドローンと河川監視カメラを用いた河川水面の抽出―も採択。これらも23年度までの3カ年で研究開発を進める。
提供:建通新聞社