東京都下水道局は11月8日に開いた「今後の下水道浸水対策のあり方検討委員会」(委員長・森田弘昭日本大学教授)の第2回会合に、浸水対策の中長期計画に位置付ける新たな対策地区を、浸水被害実績と流出解析シミュレーションの結果を組み合わせて選ぶ案を示した。また、流域治水を実現するため、民間事業者や住民に対する助成・補助事業に取り組む案も提示した。検討委が12月中旬の次回会合でまとめる報告書の素案などを基に、2021年度末に中長期計画を策定する見通しだ。
下水道局は豪雨の激甚・頻発化を踏まえ、今後15年程度で展開する浸水対策の中長期計画を策定中。検討委は計画策定に向けた基本方針や施設整備の課題、対応策などを議論するため7月に設置した組織で、8日の会合に新たな対策地区の選定方法と今後の目標整備水準の考え方、ソフト対策の拡充に関する取り組みを示して話し合ってもらった。
浸水対策はこれまで、浸水被害が起きた場合に影響が大きい大規模地下街や、一定規模以上の床上浸水が集中して発生したことがあるエリアを「対策強化地区」と「対策重点地区」に選んで進めてきた。
これに対し、中長期計画に位置付ける新たな対策地区については、過去の浸水被害実績と流出解析シミュレーションの結果を組み合わせて選ぶ案を説明して合意を得た。流出解析シミュレーションでは、現在整備している1時間50_降雨の下水道施設が完成した状況をモデル化した上で、75_降雨を想定して床上浸水箇所を特定するとしている。
今後の目標整備水準は気候変動による降雨量の増加や気温上昇の予測なども考慮して設定するとした。
ソフト対策の拡充に関しては、@減災対策の拡充A流域治水の実現BDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進―の三つの視点を設定。このうち流域治水の実現に向けた取り組みとして、住宅や事業所、民間所有施設などの浸水対策を促すための条例制定や助成・補助の仕組みづくりを例示した。
提供:建通新聞社