東京都都市整備局は建物の地下に設置されるケースが多い電気室の浸水被害を防ぐため、容積率の許可に関する建築基準法の取り扱い基準を改定した。住宅や老人ホーム、福祉ホームなどを新築する際に浸水リスクの低い一定の高さ以上の地上階に電気室を設ける場合、その部分の容積率を緩和する。気候変動の影響により水害が頻発・激甚化する中、地下が浸水しても建物の機能を継続できるよう電気室の地上階への設置を促す狙い。11月1日に施行する。
建築基準法では、建物の延べ床面積に対して機械室などの床面積が著しく大きい場合に、特定行政庁の許可で容積率を緩和できるよう定められている。この緩和対象に、浸水想定区域など浸水リスクがある地域に建設する住宅や老人ホーム、福祉ホームなどを追加。これらの建物を新築する際、ハザードマップなどを参考にして算出した想定浸水高さ以上の地上階に受変電設備などの電気室を設置すれば、その部分の容積率を緩和する。 同基準で緩和される容積率の限度は基準容積率の0・25倍。バリアフリーに寄与する部分は基準容積率の0・1倍を限度とする。
電気室は地上階に設置すると容積率に算入されるなどの理由から、一般的には地下に設けられるケースが多い。2019年の東日本台風では、首都圏の高層マンションの地下部分に設置されていた高圧受変電設備が内水氾濫で冠水して停電が起こり、エレベーターや給水設備などが使用不能となる被害が発生した。
これを受けて国が電気設備の浸水対策に関するガイドラインや技術的助言を策定したことなどを踏まえ、電気室の地上階への設置を促すため容積率の許可に関する建築基準法の取り扱い基準を改定した。
提供:建通新聞社