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建通新聞社(東京)
2021/09/15

【東京】都 善福寺川の調節池、基本設計はパシコン

 東京都財務局は善福寺川上流調節池(仮称)の基本設計業務の委託先をパシフィックコンサルタンツ(千代田区)に決めた。標準型プロポーザル方式で技術提案書を特定し、9月13日の見積もり合わせで同社が提示した1億7618万円(税抜き)の見積金額を採用した。杉並区内に延長約5・8`、貯留量約30万立方bのシールドトンネル構築を想定して基礎工と本体施設の構造などをまとめてもらう。2023年2月28日を期限に成果を得て、関係者協議や都市計画決定手続きなどに備える。
 善福寺川は杉並区善福寺の善福寺池から中野区境で神田川に合流する延長10・5`の1級河川。上流部での治水対策として1時間当たり75_の降雨に対応できるよう、所管の建設局が新たな調節池を整備する。
 環状8号線などの地下に内径7〜10b程度、延長約5・8`の調節池本管をシールド工法で構築し、30万立方bの貯留量を確保する。発進立坑は善福寺川緑地(杉並区成田西3丁目地内)に内径約20・5b、深さ約56・2b、到達立坑は杉並区立関根文化公園(杉並区上荻4丁目地内)に内径約14・6b、深さ41・2bの規模で設置する。
 併せて▽内径約17b、深さ約45bの連絡管立坑と、内径約4・4b、延長約10bの連絡管▽管理棟3棟(発進・到達・連絡管の各立坑付近)▽排水設備(善福寺川緑地)―を整備する。
 基本設計では取水施設の越流堤の延長と堰高を検討して基礎工と本体施設の構造をまとめるとともに、取水施設から立坑までの導水路の諸元を設定。発進・到達立坑と連絡管の構造も比較検討し、概略の工程計画を練って概算工事費を算出する。
 シールドトンネルの想定ルートの一部は道路と河川の幅員が狭あい(きょうあい)なため、区分地上権の設定が必要。そこで貯留量を確保しつつ区分地上権の範囲を最小限に抑えられるよう基本設計で工夫する。
 また、立坑の建設作業基地はいずれも住宅地に近接しているため、住環境と自然環境への負荷を極力低減する対策や工期短縮策を検討。シールドトンネル工事によって調布市内の住宅地で発生した地盤陥没事故を踏まえ、地盤の変動抑制対策や安全対策なども詰めていく。
 建設局では新たに約150万立方b分の調節池を30年度までに事業化することを目指している。善福寺川上流調節池の他、石神井川の城北中央公園調節池(2期)についても21年度中に基本設計業務を委託する見込みだ。提供:建通新聞社