東京都都市整備局のまとめによると、特定緊急輸送道路沿道建築物の6月末現在の耐震化率は86・9%となり、前回調査の2020年12月末から0・2ポイント上昇した。前年同期(20年6月)と比べると0・6ポイントの上昇。特定緊急輸送道路の通行機能を表す指標である総合到達率は91・6%で、前回調査時からは0・05ポイントの上昇にとどまったものの、前年同期比では0・2ポイント上昇した。35年度末の総合到達率100%達成を目指している。
都内にある特定緊急輸送道路沿道建築物は合計1万8455棟。内訳は、新耐震基準の建物が1万3613棟、旧耐震基準の建物が4842棟となっている。
旧耐震基準の建物のうち、97・9%に当たる4739棟で耐震診断が完了。耐震化が必要と診断された2428棟は改修などを実施して、耐震性を確保している。
一方、耐震診断によって耐震性の不足が判明したものの、耐震化が完了していない建物は2311棟で、いまだ旧耐震基準の建物総数の約半数を占める。耐震診断をしておらず耐震性が不明な建物も103棟残っている。
また、都は特定緊急輸送道路沿道の新たな指標として、20年3月から「区間到達率」と「総合到達率」の二つを採用している。
「区間到達率」は、都県境の入り口から、特定緊急輸送路道路のうち交差点などで区分した特定の部分にまで到達できる確率を示す。「総合到達率」は区間到達率の平均値で、耐震化率に比べ交通機能確保の効果を、より実効的に計れるようにした。
今年3月に改定した耐震改修促進計画では、25年度末までに総合到達率99%を達成するとともに、区間到達率95%未満の解消を目指すとした。最終的には35年度末までに総合到達率を100%に引き上げる目標を設定している。
耐震化には建物所有者の協力が不可欠なことから、都では区市町村と連携して所有者への個別訪問や啓発活動、耐震化に関わる補助制度の運用を継続。総合設計制度やマンション建替法容積率許可制度を活用した建て替えなども促していく方針だ。
提供:建通新聞社