東京都下水道局は激甚・頻発化する豪雨に備え、浸水対策の下水道施設整備に関わる中長期的な計画を策定する。目標整備水準の基本としてきた1時間50_を超える豪雨が増加傾向にあることから、新たな目標整備水準を設定したり、重点的に対策を行う地区を改めて選んだりして計画に盛り込む方針だ。これに伴い「今後の下水道浸水対策のあり方検討委員会」の初会合を7月30日に開いて議論をスタート。12月末までに残り2回の会合を開いて意見を集約し、2021年度末の計画策定につなげる。
都では現在、1時間50_降雨を目標整備水準の基本に据えて浸水対策の下水道施設整備を展開中。また、浸水被害が起きた場合に影響が大きい大規模地下街や一定規模以上の床上浸水が集中して発生したことがある地域では、1時間75_降雨に対応できるよう幹線や貯留施設などの整備を進めている。
特に浸水の危険性が高い57地区(50_対応42地区、75_対応15地区)を選んで重点的に対策に取り組むこととしており、このうち25地区(50_対応19地区、75_対応6地区)の施設整備を完了。50_降雨に対して浸水被害が解消された面積の割合(下水道50_浸水解消率)は約70%、令和元年東日本台風での雨水貯留施設の貯留率も約60%に達するなど、施設整備が浸水被害の軽減に効果を発揮している。また、事業中は23地区(50_対応16地区、75_対応7地区)、未着手は9地区(50_対応7地区、75_対応2地区)となっている。
一方で、近年は集中豪雨の頻発や台風の大型化などによって50_を超える豪雨が増加傾向。5月に公布された流域治水関連法では、気候変動による水災害リスクに備えるため、下水道管理者だけでなく国・自治体・企業・住民といった流域の関係者が協力して治水に取り組むよう求めている。
30日の検討委では、これらの現状を踏まえて計画立案に向けた論点を整理。施設整備には長い時間を要するため、中長期的な視点で目標整備水準を設定するとともに、重点的に対策を行う地区を改めて選定することとした。とりわけ重点的に対策を行う地区の選定に当たっては、過去の浸水実績だけでなく流出解析シミュレーションに基づく浸水リスクなども考慮する方向だ。ソフト面を含めた関係者との協業についても議論していく。
提供:建通新聞社