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建通新聞社(東京)
2021/07/19

【東京】都 臨海地下鉄実現へ検討会設置

 東京都の小池百合子知事は7月15日に赤羽一嘉国土交通相とテレビ会議を行い、国土交通省の交通政策審議会による東京圏の地下鉄ネットワークに関する答申を踏まえた今後の取り組みを確認した。有楽町線の延伸と都心部・品川地下鉄構想の2路線は東京メトロを事業主体として早期に事業化するとともに、都と国が整備費を補助。事業主体が未定の都心部・臨海地域地下鉄構想については都が設置する検討会に国が参画して事業計画の策定作業を進めることで合意した。
 テレビ会議で小池知事は「地下鉄ネットワークを整備することで、東京の持続的な発展と日本全体の経済成長につなげたい」と強調。赤羽国交相は「東京の国際力強化のためには地下鉄ネットワークの拡充が重要だ」との認識を示し、答申に基づいて国と都が連携する方針を確認した。
 交政審の答申では有楽町線の延伸(豊洲〜住吉間5・2`、事業費1560億円)と都心部・品川地下鉄構想(白金高輪〜品川間2`、800億円)については東京メトロが事業主体となって整備することが適切だと提唱。これを受け、都と国は地下高速鉄道整備事業費補助などを活用して公的支援をしていく構え。現行の補助要項によると補助率は国が約25・7%、都が約28・6%と定めている。ただ、東京メトロの新線整備は対象外となっているため、制度を拡充できるよう議論を深めていく。
 この他、都心部・臨海地域地下鉄構想(新銀座〜新国際展示場間4・8`、2600億円)については現在までに十分な議論がなされておらず、事業主体が未定のままだ。背景には、有楽町線と都心部・品川地下鉄構想は東京メトロの延伸という位置付けになっている一方で、都心部・臨海地域地下鉄構想は同社の路線ネットワークとの関連性が薄いという現状がある。
 都は臨海部を国内外の玄関口と位置付けて発展させる将来像を長期戦略に盛り込んでいる。民間投資の誘発と新たな需要の創出を促すためには交通ネットワークの整備が不可欠であることから、都心部・臨海地域地下鉄構想の事業化を目指す。まずは事業計画の策定に向けた検討会を都が早期に立ち上げ、財源確保の方策や収支採算性などを具体化していく。検討会には国も参画する予定で、国以外の構成員や策定スケジュールはこれから詰めていく。
 東京メトロの株式を巡っては、答申に基づいて国と都が同時・同率で売却することになる。時期は決まっていないものの、まずは2分の1ずつ売却するための準備に入る。提供:建通新聞社