国土交通省関東道路メンテナンスセンターは、トンネル内や高架下など衛星からの信号の届かない区間であっても車両位置の高精度な測位を可能とする9技術の検証結果をまとめた。スマートフォンによる測位が可能な汎用(はんよう)性の高い技術や、誤差1b以内の高精度を達成する技術もあった。道路メンテセンターは検証結果を公表し、さらなる技術開発を促していく。
国交省は道路巡回・点検の効率化に向け、3次元点群データなどのセンシング機器を搭載した車両の活用を検討。その際、衛星信号を受信しにくい区間での位置情報の確認が課題となっていた。
このため、関東道路メンテセンターがトンネル内、高架下での測位技術を公募したところ、7者が9技術を提案。今年1月に国土技術総合研究所内のトンネル施設を用いて技術検証を行った。
有効性が確認できた一方で、複数の測位手法を選べるシステムの開発や、機器の耐久性の向上など、今後の技術課題も明らかになった。結果は開発企業にフィードバックし、実装に向けて参考にしてもらう。
個別の検証結果を見ると、ビーコンの信号をスマートフォンで受信して測位するアドインテ社の「AIBeaconマーケティング」が汎用性、導入の容易さで高い評価を得た。
また、カシオ計算機の可視光通信を用いた測位技術は停止時、走行時を問わず誤差1b以内の高い精度を確認できた。
検証対象となった技術、応募代表者は次の通り。
▽AIBeaconマーケティング(アドインテ)▽高精度衛星測位からシームレスに高精度インドア測位に切り替える手法(スペースエッジラボ)▽GNSS/INS統合ナビゲーションおよびポジショニングテクノロジー(ゴールデンバーグ)▽慣性航法およびマップマッチング位置補正による高精度測位(ゼンリンデータコム)▽仏Syntony社製トンネル内GPS測位システム(ステルスコンサルタント)▽慣性センサーと疑似GNSS複合によるデッドレコニング技術(多摩川精機)▽カメラ可視光通信を用いたLED可視光通信の位置指標による自己測位(カシオ計算機)
提供:建通新聞社