国土交通省関東地方整備局は、工事の不調・不落対策の一環として、直轄工事の実績が少ない企業の入札参加を促す。特に、2020年度から本格導入しているフレームワークモデル工事では、直轄の実績が少ない企業であっても参加しやすいことに着目。出先事務所と各都県の建設業協会とのコミュニケーションを深め、フレームワーク工事を入り口に直轄工事へ挑戦する企業の裾野を広げていく。
フレームワーク工事は、複数の工事案件を一つのフレームにまとめ、あらかじめ工事参加希望者を募った上で、個々の工事を指名競争入札で発注する手法。19年度に災害復旧工事で、20年度からは通常工事で導入している。
フレームワークモデル工事では同種工事の実績のみを求めているだけでなく、同じフレームの工事の中で落札が決定した企業が順次「一抜け」する方式のため、直轄の実績が少ない企業でも受注できる可能性が高い。直轄実績が0〜2件しかない企業の参加が多かった県では、最終的にフレームワークで発注した工事の半数を実績2件以下の企業が落札した。
その一方で、直轄工事の参加者が固定化し、実績のない企業の参加が少ない県では受注が可能な企業が限定され、結果的にフレームワークモデル工事であっても不調・不落の発生率が高かった。
関東地整はこうした状況を踏まえ、都県建設業協会との意見交換の場などを活用し、工事書類の削減など受注者の負担軽減に向けた取り組みを発信。フレームワーク工事への積極的な参加を促し、直轄の実績を積む機会を増やしていく。
〈21年度は50工事で試行〉
関東地整は21年度、フレームワークモデル工事を50件の工事で試行する見通しだ。一般土木、維持修繕工事を中心に、競争参加者が少数なことが見込まれ、技術的難易度が比較的低い工事を対象に適用する。「国土強靱(きょうじん)化に向けた5か年加速化対策」に基づく都県の工事発注が本格化する今夏に備え、直轄工事も円滑に執行できるようにする。
提供:建通新聞社