国土交通省荒川下流河川事務所は2021年度に、荒川下流域の水害リスクを詳細に示す地図(リスクマップ)を作成し、被害が想定される範囲内の自治体に対してまちづくりに反映するよう促していく。併せて、高台まちづくりや雨水貯留施設の整備に関する支援メニューをまとめ、流域の民間事業者や市民に注意を喚起。大規模再開発から一戸建て住宅の建て替えまで、計画の早い段階から水害対策を盛り込めるようにする。国による堤防建設や河道掘削といった河川整備だけではなく、流域のあらゆる関係者の協力を得て水害を防ぐ「流域治水」の実践につなげる。
5月28日に流域の自治体とウェブ会議形式で開いた荒川水系(東京ブロック)流域治水協議会で、荒川下流河川事務所が方針を表明した。
これまでは、水害リスクを想定最大規模の浸水想定区域図などの形で公表し、主に避難対策の参考として提供していた。今後は、流域治水対策の進展や、洪水の規模に応じた複数パターンの浸水想定図を公表し、自治体が都市計画マスタープランや立地適正化計画(防災指針)に反映できるようにする。
さらに、国・自治体で構成する流域治水協議会として、民間事業者や個人向けにリスク情報、公的な支援メニューを記載したポスターなどの資料を発信する。主な内容として▽高台まちづくりに関する補助金や、高規格堤防の整備内容・範囲の説明▽雨水貯留浸透施設の設置基準、補助金制度▽河川保全区域―などを想定している。
さらに、荒川下流事務所、流域自治体により河川対策として約9543億円、下水対策として約4080億円を投じて21年度から推進する流域治水プロジェクトの取り組み内容も可視化する。対策を荒川下流の3次元管内データに落とし込み、近く荒川下流のホームページで公表。各機関の役割を明確化し、民間事業者・市民が閲覧できるようにする。
提供:建通新聞社