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建通新聞社(東京)
2021/05/21

【東京】都 木造需要拡大へ非住宅など新分野開拓

 東京都産業労働局は多摩産材をはじめとした国産木材のさらなる需要拡大に向けて「森づくり推進プラン」の改定案をまとめた。公共建築物への木材の積極的な活用や区市町村と民間事業者に対する支援だけでなく、木材を活用した塀、中・高層建築、非住宅建築といったこれまで木材があまり使われてこなかった分野の開拓にも取り組む。
 改定案の計画期間は2021〜30年度の10年間。都内の森林整備と林業振興に関して都が重点的に取り組む施策を示した。
 具体的には@森林循環を促進し公益機能を高める森林整備A生産性と収益性の高い林業経営B多摩木材をはじめとする国産木材の需要拡大C都民や企業などによる森林利用の拡大―の四つの戦略を展開する。
 森林整備に関しては、多摩地域の林業の経営力強化につなげるために林道や森林作業道といった路網(道路ネットワーク)の整備を推進。市町村と連携して林道の新設に取り組むとともに、19年の台風19号で被災した林道の改修、大型機械の通行に対応していない林道の拡幅などによる高規格化も実施する。
 木材の需要拡大に向けては、公共と民間の両方で機運を醸成する必要がある。都内の人口は減少傾向にあり新築住宅では大幅な木材需要の増加が見込めないことから、非住宅建築の分野でも新たな需要を開拓したい考え。
 都の関連施設では、倒壊の危険性があるコンクリート塀を更新する際の代替として木塀を設置する方針。渋谷区の青山通り沿いにある旧・こどもの城を改修して整備する都民の城(仮称)には多摩産材のPR拠点を設ける予定でいる。
 民間事業者に対する支援としては、住宅の構造材や内装、外構に国産木材の利用を促すための方策の検討を計画期間内に始める。
 また、CLT(直交集成板)や木質耐火部材を活用した中・大規模建築物はまだ事例が少ないため、20年度に開始した「中・大規模建築物の木造木質化設計支援事業」などを継続することで木造木質化を促す。研修会の開催などを通じて木造建築物の設計・提案ができる建築士を育成するなどソフト面の支援にも力を入れる。
 この他、テレワークの普及やSDGs(持続可能な開発目標)、健康意識の高まりといった社会の変化に着目し、製品の開発や販路開拓の支援につなげる方針だ。
提供:建通新聞社