東京都水道局は上流部浄水場(仮称)を新設する。処理能力は日量14万立方bで計画。将来的に東村山浄水場を更新するための代替施設の一部となる。2021〜22年度に基本設計をまとめた上で23年度から実施設計に入り、25年度に工事を開始する。
施設能力が日量100万立方bを超える大規模な浄水場を更新する際は、更新に伴い低下する施設能力相当の代替浄水場をあらかじめ整備した上で、工事に着手する必要がある。
今回は、1960年度に通水を開始して老朽化が進んでいる東村山浄水場の代替施設として、上流部浄水場(日量14万立方b)を新設するとともに、再構築を進めている境浄水場に日量24・5万立方bの施設を整備し、計38・5万立方bの処理能力を確保する。いずれの施設も、2030年代の完成を目指す。完成後、東村山浄水場の更新に入る。
上流部浄水場の新設に向けては、基本設計業務委託の入札手続きを開始した。WTO政府調達協定の対象案件として4月19日まで参加申し込みを受け付け、5月28日に開札する。履行期限は480日間。
新たな浄水場を整備する際には厚生労働省の認可を得るために水処理実験が必要なことから、上流部浄水場の新設に先立ち、近接地に水処理実験施設を整備する。委託業務には実験施設の設置と水処理実験も含む。浄化方式については、実験を通じて最適な方法を探る。
建設地は上流部浄水場が青梅市新町9ノ2016地内、実験施設が羽村市羽西2ノ4地内。
都内では、1970年代までに集中的に整備された浄水場が一斉に更新時期を迎えつつある。予防保全型管理によって施設の長寿命化と更新時期・費用の平準化を進めることで、これまで約60年間に設定していた浄水場施設の更新期間(耐用年数)を約90年に延ばした。
この見直しを踏まえ、各浄水場の更新と代替浄水場整備の着手時期・規模も変更。東村山浄水場は2030年代、金町浄水場は50年代以降に更新工事に着手する見込み。人口減少や水道需要の動向を踏まえると、将来的には施設能力のダウンサイジングが必要なため、各浄水場を更新する際に施設規模を見直していく。
提供:建通新聞社