インフラ分野のデジタル技術活用(DX)の推進に向け、官民双方の人材を育成する「関東DX・i−Construction人材育成センター」が、4月21日に国土交通省関東地方整備局の関東技術事務所(千葉県松戸市)に開所する。2023年度のBIM/CIM全面活用を見据えて受発注者向けの研修を提供し、中小建設業を含めてICT施工に挑戦できる環境を整える。さらに、ローカル5Gを用いた遠隔施工などの先端技術の試行、検証の場にも活用。産官学の交流・情報発信のため関東地方整備局庁舎内(さいたま市中央区)に設置する「関東DXルーム」とともに、関東エリアのDX推進拠点が始動する。
関東地方整備局では、データとデジタル技術を活用してインフラの計画、整備、維持管理などを高度化する関東BIM/CIMロードマップを2020年度末に策定した。人材育成センターとDXルームを通じて、受発注者双方でDXを担う人材を確保し、ロードマップの実現を目指す。
人材育成センターでは、関東地整の職員だけでなく、地方公共団体や民間企業を対象に研修を行う。敷地内に実際の現場を模したフィールドを設け、簡易なICT施工・測量を学ぶ体験実習や、BIM/CIM活用人材の育成研修を実施。データと現実の空間を重ね合わせるMR(複合現実)技術を生かした施工管理など、先進的な技術も体験できるようにする。ローカル5Gによる通信環境を構築し、建機を遠隔操作する無人化施工実習も行う。
関東DXルームは、人材育成センターを補完する施設。高速通信網を整備し、ビデオ会議や動画配信など対面以外のリモートによる研修を可能にする。「Open Innovation Space」と名付け、産官学の交流を促す情報発信拠点とする。自宅や出先でもモバイルPCで3次元データ図面を閲覧・編集できる環境を整備するなど、局職員の働き方の変革も試行する。
提供:建通新聞社