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建通新聞社(神奈川)
2021/03/31

【神奈川】行政と神中建、横建協意見交換会 「競争性、公平性に配慮した入札へ」

 神奈川県中小建設業協会(神中建、河ア茂会長)、横浜建設業協会(横建協、山谷朋彦会長)と行政(国土交通省、神奈川県、川崎市、横浜市、横須賀市、藤沢市)との意見交換会が3月29日、川崎市川崎区内で開かれ、受・発注双方の立場から、入札・契約にかかわる諸課題とその対応について話し合った。各協会・支部からは、週休2日制モデル工事での労務費などの補正係数の見直しや、適正な工期の設定、くじ引きでの落札決定が目立つ現状の改善などを訴えた。国土交通省からは土地・建設産業局建設業課入札制度企画指導室の西山茂樹室長を迎え、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」と、関連する公共事業関係予算の推移などについて説明を受けた。
 神中建川崎支部は、川崎市の入札制度について「土木系業種においては、主観評価項目の合計点や地域性を考慮した案件も発注されているが、各業種・ランクにおける発注件数と入札参加数とのバランスが取れておらず、適正化されていないまま継続されている」と指摘。舗装工事や水道施設では、AクラスやBクラス対象の案件で30〜35社前後が参加し、同額入札が発生。電子くじでの決定となり、「いつどのような工事が受注できるか予想ができない」と訴えた。また総合評価一般競争入札の案件についても、施工実績や工事実績、工事成績などの評価点のウエートが高く、「過去のくじ運に恵まれた業者しか参加・落札できない」とし、「競争性や公平性に配慮した入札とは思えない」と疑問を呈した。
 市の担当者は「各業種、ランクによって登録事業者数と発注件数が、年度によって違いがあるため、入札参加機会の付与という点で競争性、透明性、公平性に留意する必要がある」との認識を示した上で、「引き続き登録業者数の推移や主観評価項目の点数の取得状況、他都市の状況を見て検討していきたい」と説明した。
 この他、神中建各支部と横建協は、週休2日制モデル工事での労務費と現場経費の割り増し補正係数を、実勢を踏まえた数値に引き上げてほしいと訴えた。
 
〜賃金対策の取り組みを展開〜
 会の冒頭、全国中小建設業協会(全中建)の土志田領司会長は、3月適用の公共工事設計労務単価について、新型コロナウイルスの影響を踏まえた特別措置を実施し、9月連続で引き上げられたことについて、「都道府県や市町村の公共工事を柱としている中小建設業者にとってはありがたい。われわれの役目は、若者の入職を増やすなどの働き方改革を推進すること。そのためには、技能労働者の労務費の引き上げが何よりも重要。全中建として、具体的な賃金対策の取り組みを展開していきたい」とあいさつした。

〜県 水防災戦略事業を推進〜
 神中建顧問で神奈川県議会の土井隆典議員は、近年頻発する自然災害に対して「県では、『神奈川県水防災戦略事業』に、予算を削減することなく、県民の安全・安心のために推進していこうということになっている。それが皆さんの仕事の多寡に直結することでもあるので、行政機関と話し合いながら安全・安心のために進んでいってほしい」と協力を依頼。また、「週休2日制についてもなかなか難しい課題ではあるが、国や各行政機関と協力しながら推し進めていかなければならない。良い方向に進むよう支援したい」と述べた。

〜就業環境の改善を最優先に〜
 閉会のあいさつで横建協の山谷会長は、「業界として、働き方改革やキャリアアップシステムの実現・普及に早急に取り組まなければならない」とした上で、「時間外労働時間の上限規制について、建設業は24年4月から適用となり期限が迫っている。就業環境の改善を最優先に考えなければならない。今回の意見交換の成果を有意義なものにしていきたい」と述べた。提供:建通新聞社