京都府は、舞鶴港和田地区(国際ふ頭)のU期整備として、T期埋立区域の北側約10・7fの埋立て及び護岸工事を行う。埋立工事は令和3年度から12年度までの10年間を予定。事業費は142億6800万円を見込む。
「増加するコンテナ貨物への対応」「大型化する外航船舶への対応」「大規模地震発生時における阪神港等の物流機能のリダンダンシー確保」「ロシア向け中古自動車の物流効率化への対応」からU期工事を事業化する。
U期工事を巡っては、昨年2月府議会の代表質問で西脇隆俊知事が答弁し、京都縦貫自動車道の全線開通の効果もあり、北中部での企業立地が一定進み、誘致可能な工業用地が減り、大規模なニーズには応えられない状況を踏まえ、「今後、京都府では舞鶴国際ふ頭U期工事で5fの分譲用地を確保する予定」と方針を示していた。
埋立区域は、概成しているT期埋立区域の北側に隣接する舞鶴市下安久地先の公有水面で、面積は10万6913・07u(約10・7f)。
約10・7fの用途内訳は、▽ふ頭用地(埋立地北側、約4・4f)▽保管施設用地(南東側、約1・7f)▽業務施設用地(南西側、約2・4f)▽緑地(南東側隅、約0・9f)▽道路用地(中央部・東側・南側、約0・9f)▽護岸用地(外周で北、東、南側の海に面した位置、約0・4f)。埋立地の地盤の高さはD・L+1・80m〜2・20m。
護岸は、A護岸がL210m、A仮護岸がL271m、Aダッシュ仮護岸がL60m、B護岸がL271m(B−1区間L151m、B−2区間L120m)、C護岸がL310m(C−1区間L130m、C−2区間L180m)。
護岸構造は、A仮護岸が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)ケーソン、中詰砂、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、Aダッシュ仮護岸が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)ケーソン、中詰砂、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、A護岸が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)ケーソン、中詰砂、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、B護岸(B−1区間)が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)方塊ブロック、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、B護岸(B−2区間)が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)ケーソン、中詰砂、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、C護岸(C−1区間)が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)方塊ブロック、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、C護岸(C−2区間)が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m、C護岸(C−2区間深部)が(基礎工)海上地盤改良、基礎捨石、(本体工)方塊ブロック、裏込石、(上部工)場所打ちコンクリート、(天端高)D・L+1・80m。
埋立工事に先立ち、施工箇所を囲む位置に汚濁防止膜を設置し、護岸を先行施工しながら、埋立を行う。
埋立は第1ブロックから第4ブロックまでの計4ブロック。第1ブロック、第2ブロックに臨港道路(上安久線)工事の建設残土及び浚渫残土を受入れ、第3ブロック及び第4ブロックに浚渫残土の受入れを想定する。建設残土の発生量は不確定なため、必要に応じて購入土を投入する。
埋立に用いる土砂等の種類は、公共残土、浚渫土砂(泊地浚渫土)、山土(購入土)、フェロニッケルスラグ細骨材(購入土)。
埋立土砂は計108万m3を投入予定。
近畿地方整備局が事業中の舞鶴港和田地区国際物流ターミナル整備事業では、臨港道路(上安久線)工事に令和4年度に着手する予定で、その整備による土砂は令和5年度から発生すると見込む。
第1ブロック及び第2ブロックは既設の潜堤があり、マイナス5m前後まで浚渫土が投棄された地域のため、区域全体は軟弱地盤を考慮する。第3ブロック及び第4ブロックは在来地盤最大深マイナス12・0m程度からの埋立となる。
埋立手順は、第1ブロック及び第2ブロックについては、@1mの敷砂を施し、プラスチックドレーン工法で海上地盤改良を行うA上安久線工事の建設残土及び浚渫残土(改良)を土運船に積み、マイナス3mまで埋立て載荷して放置するB放置期間終了沈下後、再び土運船でマイナス3mまで埋立てた後、バックホウを使用して建設残土及び浚渫残土(改良)をマイナス3mの法尻へ投入しながら、マイナス1・5m程度まで埋立て、ブルドーザーで計画地盤まで建設残土を押土して仕上げる。
第3ブロック及び第4ブロックについては、@1mの敷砂を施し、プラスチックドレーン工法で海上地盤改良を行うA平ふ頭地区の浚渫残土(改良)を土運船に積み、マイナス3mまで埋立て載荷して放置する。建設残土の発生状況に応じて購入土を投入するB放置期間終了沈下後、再び平地区の浚渫残土(改良)を土運船でマイナス3mまで埋立てた後、バックホウを使用して浚渫残土(改良)をマイナス3mの法尻へ投入しながら、マイナス1・5m程度まで埋立て、ブルドーザーで計画地盤まで建設残土を押土して仕上げる。
埋立工事の施工順序は、[1年次](令和3年度)埋立に先立ち、汚濁防止膜を設置し、水質汚濁の防止を図る。陸上のヤードでフロートに汚濁防止膜を取付け、クレーン付き台船等で所定の位置に設置し、アンカーブロックで固定する。汚濁防止膜は外周施設が概成するまで用いる。C−2護岸(傾斜堤)、C−2護岸(最深部)の海上地盤改良工に着手し、同時並行でC−1護岸の海上地盤改良工を実施する。C−2護岸(傾斜堤)は基礎工、上部工に順次着手し、施工する。またC−2護岸(傾斜堤)が完了次第、C−2護岸(最深部)の基礎工、本体工、裏込工、上部工を順次実施し、年度内にC−2護岸(傾斜堤)、C−2護岸(最深部)を完了させる。[2年次](令和4年度)1年次に引き続き、C−1護岸の海上地盤改良工を実施し、基礎工、本体工、裏込工、上部工を順次実施し、年度内にC−1護岸を完成させる。またB−1護岸の海上地盤改良に着手し、基礎工、本体工、裏込工、上部工を実施し、年度内にB−1護岸を完成させる。護岸工事と並行して第1ブロックのドレーン工を実施する。[3年次](令和5年度)B−2護岸の海上地盤改良工に着手し、完了次第、基礎工を施工する。また護岸工事と並行して第1ブロック、第2ブロックのドレーン工を施工する。第1ブロックのドレーン工が完了次第、第1ブロックの埋立に着手する。[4年次](令和6年度)3年次に引き続き、B−2護岸の海上地盤改良工に着手し、基礎工、本体工、裏込工、上部工を施工し、年度内にB−2護岸を完成させる。また護岸工と並行して第1ブロックの埋立を施工するとともに、第2ブロックのドレーン工を施工し完了させ、埋立に着手する。[5年次](令和7年度)A護岸の海上地盤改良工に着手する。また護岸工事と並行して第1ブロック、第2ブロックの埋立を施工する。[6年次](令和8年度)5年次に引き続き、A護岸の海上地盤改良工を施工し、基礎工、本体工を施工する。また護岸工事と並行して第3ブロック、第4ブロックのドレーン工に着手するとともに、第1ブロック、第2ブロックの埋立を施工する。年度内に第1ブロックの埋立が概ね完成する。[7年次](令和9年度)6年次に引き続き、A護岸の本体工を施工し、基礎工、裏込工、上部工を施工する。A護岸が完了次第、Aダッシュ仮護岸の海上地盤改良工に着手する。年度内にA護岸を完成させる。また護岸工事と並行して第2ブロックの埋立、第4ブロックのドレーン工を施工し、第4ブロックの埋立に着手する。[8年次](令和10年度)7年次に引き続き、Aダッシュ仮護岸の海上地盤改良工を施工し、基礎工、裏込工、上部工を施工する。Aダッシュ仮護岸が完了次第、A仮護岸の海上地盤改良工に着手する。年度内にAダッシュ仮護岸を完成させる。また護岸工事と並行して第2ブロック、第3ブロック、第4ブロックの埋立を施工する。年度内に第2ブロックの埋立が概ね完了する。[9年次](令和11年度)8年次に引き続き、A仮護岸の海上地盤改良工を施工し、基礎工を施工する。また護岸工事と並行して第3ブロック、第4ブロックの埋立を施工する。[10年次](令和12年度)9年次に引き続き、A仮護岸の基礎工、本体工、裏込工、上部工を施工する。年度内にA仮護岸を完成し、護岸全体が施工完了となる。外周施設が完成次第、汚濁防止膜を撤去する。また護岸工事と並行して第3ブロック、第4ブロックの埋立を施工する。年度内に全ての工事を完成させる。
公共施設として、道路@(埋立地の中央部)L約402m、W約16・5m(A約6630u)、道路A(東側)L約77m、W約13・0m(A約1070u)、道路3(南側)L約159m、W約11・0m(A約1750u)、道路C(道路Bと国道27号とを結ぶ埋立地外の位置に配置)L約2900m、W約15・0m(A約4万3500u)、雨水排水管(道路@及び道路Aから海に至る地下に配置)2系統、L約580m、内径約400〜900o、上水道(道路@、道路A、緑地の北端沿い、道路Aからふ頭用地に向けた方向の地下に配置)L約750m、内径約100〜150o、緑地約0・9fを予定。
事業費142億6800万円の年度別内訳をみると、着手前に3億1000万円、令和3年度に9億円、4年度に22億7870万円、5年度に12億1800万円、6年度に7億6330万円、7年度に11億1850万円、8年度に19億3050万円、9年度に13億8450万円、10年度に16億5950万円、11年度に13億5500万円、12年度に13億5000万円を予定。港湾機能施設整備が100億5620万円、臨海部土地造成が42億1180万円。
保管施設用地(埋立地南東側、約1・7f)、業務施設用地(南西側、約2・4f)は令和8年度に公募を行い、処分(譲渡)する予定。