「新しい勝山・未来志向の勝山」の実現を訴え、昨年11月の市長選で初当選を果たした水上実喜夫氏。コロナ禍ではありながらも、北陸新幹線の延伸、中部縦貫自動車道の県内開通、さらには県立恐竜博物館の機能強化など、観光やまちづくりにとって絶好の機会を迎えるなか、豊富な行政経験に裏打ちされた、その手腕に集まる期待は大きい。就任から3カ月。水上市長を訪ね、長尾山総合公園の再整備を中心に、話を伺った。
◆改めて抱負から
人口減少の中で勝山市はどのような夢を描けるかを常々考え、選挙でも観光の産業化を訴えてきた。いまはコロナ禍だが、数年先を見据え、しっかりと基盤を整えないといけない。2つ目には安全安心の確保。新型コロナが昨年来猛威を振るい、年明けには大雪という中で、予算編成でも安全安心に重点を置いた。人口が減り、自助や共助だけではできないところを、公助がどう支えるかが大きなテーマ。まずは毎年の雪に備えながら、幅広い意味での防災減災に取り組みたい。
◆どんなまちに
社会情勢から考えても、これから大幅な人口増は期待しづらいが、我々には長年、人口減少に対応してきた経験がある。出生数や移住者を増やす取り組みはしっかりやりながらも、人口減を冷静に受け止め、それでも暮らし続けることができ、若い世代が将来に希望を持てるまちを目指したい。
◆長尾山総合公園の再整備について
恐竜博物館が立地する長尾山は勝山観光の核の1つで、新幹線や中部縦貫道、県による恐竜博物館の全面リニューアルは間違いなく大きなチャンス。従来のような行政主導ではなく、民間の力をお借りして魅力アップを図りたい。
◆具体的な構想を
飲食や物販も不足しているが、絶対に欠かせないのが宿泊施設。公園内に複数誘致したい。博物館に100万人が訪れても、市内に宿泊するのは1%程度というのが現状。新たに市内で300室を確保したいというのが私の思い。博物館を補完するようなアミューズメント的な要素も必要。県立大学の古生物学科の誘致にも力を入れたい。
◆整備手法は
候補の1つがパークPFIだが、管理運営や資金調達も含め、すべてを担えるような体力がある企業がいるのかどうか。現在、可能性を調査しており、その結果を踏まえ、どのようなかたちで民間の参画を求めるのか、詰めていきたい。
◆統合中学校については
市内3校を1つに統合し、県立勝山高校の敷地内または隣接地に建設するのが望ましいとの検討委員会の答申を受け、県に相談していたが、敷地内に設置可能で、特別教室や体育館などは共用も検討するという非常に前向きな回答をいただいたところ。地域の方々のご意見を聞きながら、遅くとも21年度中には市としての方針を決める。長山公園グラウンドやジオアリーナを含む勝山高の一帯を文教ゾーンと位置付け、教育環境を整え、勝山の教育をしっかり守っていきたい。
◆建設業界に一言
我々のような地方の自治体がインフラを維持していくためには、建設業の存在は重要。特に勝山市にとって、雪との共存には建設業の協力が不可欠。これからも地元の建設事業者とともに、地域づくりを進めていきたい。
みずかみ・みきお 勝山市企画財政部長、商工観光部長、副市長など歴任。職員時代には障害福祉や児童福祉などに長く携わり、今でも福祉にかける思いは特に強い。62歳。