大阪商工会議所都市活性化委員会(委員長=錢高一善・錢高組取締役会長)は、2025年大阪・関西万博に向けた大阪都心の機能強化に関する提言をまとめた。都心の東西軸と南北軸が交差する中心部に当たり、都心全体への波及効果が見込めるとして「大阪・船場エリア」の機能強化を提言。船場唯一の街区公園を中心に再開発を進め、繊維のまち、問屋街ならではの資源を生かす「中船場せんいのまちプロジェクト」、ワークスペース付き住居やオフィスと住居が併設されたビルをつくり、職住近接を実現する「創造界隈プロジェクト」などを盛り込んだ。今後、行政や地元団体、有識者ら公民連携で船場の未来ビジョンを検討する予定で、大商も参加し、提言の実現を働き掛ける。
大阪都心の中でも中心部に当たる船場エリアには具体的な将来計画がないことなどから、「働く・住む・訪れるが融合した都心」を目指し、特色あるビジネスの集積を強化する「軸の強化」と「軸をつなぎ面への展開」を連動させる六つのプロジェクトを提案した。
「中船場せんいのまちプロジェクト」は、街区公園の久宝公園を活用した社会実験で機運を高めながら将来的に隣接する駐車場を含めたエリアの再開発を支援する。繊維のまち、問屋街ならではの資源を生かし、クラフトやファッション、テキスタイルなどの実物を試しながら製品を生み出すファブラボを設置し、商品情報の発信、事業者ネットワークの拠点を目指す。
創造界隈プロジェクトは、ワークスペース付き住居またはオフィスやワークスペースと住居が併設された集合住宅ビルをつくり、職住近接や在宅ワークを実現する。低層階には、シェアード・コラボレーション・スタジオやインキュベーション施設、コワーキングスペース、カフェやレストランなどの交流スペースを設ける。新築ビルだけでなく、既存の小規模・中規模オフィスビルも同様のリノベーションを行い、多様なワークスタイルの実現を目指す。
この他、▽21年夏にオープン予定の水辺拠点「β本町橋」を中心に、護岸改修に合わせたまちづくり(船付きオフィスやボートホテル、オープンスペース整備など)を展開する「北浜・東横堀川食魅力プロジェクト」▽道修町通の道路整備と無電柱化を機に価値・魅力の向上を目指す「道修町くすりのまちブランディングプロジェクト」▽船場内を通る大通りから路地、公開空地、水辺までのグランドレベルのオープンスペースで創造的な交流・つながりを創出する「グランドレベル交流プロジェクト」▽御堂筋のフルモール化など周辺開発と連動し、公・民の土地を一体的に再編し、歩行者区間を充実する「ウォーカブル船場プロジェクト」―を提案している。
提供:建通新聞社