東京都公園審議会(会長・梨雅明日本公園緑地協会副会長)は3月25日、日比谷公園と雑司ケ谷霊園の再生に向けた計画をまとめ、都に答申した。日比谷公園は、開園130周年を迎える2033年を目標として、公園全体をグリーンインフラとして育てていく。雑司ケ谷霊園は10年程度を事業期間とし、霊園利用者だけでなく都民が利用できる場として再生する。
日比谷公園(千代田区日比谷公園、開園面積約16・2f)の答申では、課題となっている周辺地域との回遊性向上や、文化・歴史資源の再整備に関して提言した。
開園当初から残る六つの門を修復し、隣接する街の来街者を公園に誘引できる入り口空間を整える。
皇居外苑につながる祝田門付近のエリアは、テーマを「HIROBAs(仮称)」と設定。天候の影響を受けにくい大屋根の付いた芝生広場を整備。活動の拠点となる管理棟も新設し、総合案内所だけでなく、図書館や更衣室、キッズスペースなどの機能を導入する。
日比谷公園の特徴であるS字型園路はバリアフリーに対応した舗装に改修する。公会堂前から小音楽堂をつなぐエリアには、芝生で憩える広場を整備。既存の噴水は、視線を阻害しない高さに改修する。
公園の再整備に当たっては、民間活力を積極的に導入する。老朽化が進む大音楽堂は、民間による施設整備と運営を視野に入れ、飲食店や売店などの便益施設も設置する予定。
雑司ケ谷霊園(豊島区南池袋4丁目地内他、面積約10・6f)には、約1万カ所の墓所があり、このうち約1900カ所が空き墓所となっている。霊園の運営を適切に進めるとともに、公園としての魅力向上や防災・減災につながる機能も強化する。
新たな墓地として、樹林・樹木の下に埋葬する集合墓地を設置する。整備に向けては、墓所の移転や返還、無縁墳墓を整理することで、散在する空き墓所と併せてまとまった敷地を確保。広場として再整備できるようにする。
また、御鷹部屋跡地をはじめとした土地の歴史を紹介する仕組みを整えるとともに、著名人墓所を保全するなど、公園としての魅力向上も図る。
22年度以降から約10年間で事業を実施する。まずは集合墓地を整備し、併せて既存の空地に休憩施設や水くみ場の整備を進める。空地の拡大と集約が進んだ段階で、拠点広場や園路などの整備に取り組む。
提供:建通新聞社