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滋賀産業新聞
2021/03/26

【滋賀】県高島農業農村 老朽化の淡海湖隧道など保全計画策定へ

 県高島農業農村振興事務所田園振興課は、淡海地区(高島市今津町深清水他)において、淡海土地改良区の管理する淡海湖の付帯施設である隧道(水路トンネル)等の調査設計及び安曇川左岸2期地区における水路改修工事の土留工に係る設計を進めている。22年2月頃にも設計業務を完了させ、工事発注については今のところ未定だが、工事期間としては3〜4ヵ年を見込んでいる。
 着手する淡海湖の付帯施設である隧道は、淡海湖から取水した用水を一級河川境川へ導水するための延長1・2qの水路トンネル。1934年の完成から90年近くが経過している。同隧道は、地震時のため池緊急排水工を兼ねており、崩落に伴う閉塞による排水阻害の影響が懸念され、レーダー法による背面空洞調査等の調査を行い、機能低下状況の診断および機能保全計画の策定を行う。
 また、淡海湖の堤防上から洪水吐工への管理用道路法面は軟岩が露出しており、風化による崩壊等で道路閉塞の可能性があるため、当該ため池管理用道路法面工にも取り掛かり、対象箇所は別工事により築造した、ため池堤体から洪水吐へ通じる延長125bの管理用道路の切土法面。また、安曇川左岸2期地区における高島市安曇川町下古賀地先の幹線用水路改修工事のための、仮設土留工を行う予定で、管水路への排泥工の増設および水路布設替えに伴う掘削時の仮設土留工に着手する。
 設計業務は、水路トンネル機能診断・機能保全計画策定1・22q、道路概略設計2・9q、法面工実施設計1ヵ所、仮設土留工実施設計2基。
 同課では、高島市今津町内にある淡海地区の老朽化した堤体等の補強・改修を行う「淡海整備事業」について、堤体・洪水吐・取水施設整備工事等を進めていく。
 淡海池は、受益地の取水源として重要な施設であるが、築造後80年以上が経過し取水施設等が老朽化しており、堤体の耐震性にも問題があることや、中性化の進行や耐震性が確保されていないなど被災した場合において下流域への多大な被害が危惧されていることから改修を計画。主な工事内容は、堤体・洪水吐・底樋・斜樋・緊急放流整備など。工事実施に際しては、漏水防止ネットフェンスを設置し、濁水・土砂流出の防止を図ることや、池敷内のヘドロをセメント改良して堤体の押さえ盛土として利用し、地区外からの土砂の搬入・搬出をしない計画とすることで自然環境への影響を緩和する方針。
 なお、今回の設計業務は、葵エンジニアリング(名古屋市中村区)が担当。

提供:滋賀産業新聞