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北海道建設新聞社
2021/03/23

【北海道】苫前夕陽ケ丘風力発電所風来望4号機」発電売電が好調

 苫前町がリプレース(更新)し2020年3月に運転を開始した「苫前夕陽ケ丘風力発電所風来望4号機」の発電量と売電金額が、計画値を大きく上回り好調だ。21年2月までの1年間の実績値は、発電量が646万7432`h時、売電金額が1億2627万8100円でそれぞれ計画値の約1・3倍に。福士敦朗町長は「ごみ袋価格の引き下げなどを継続するとともに、新たに住宅のLED化補助を考えている」と、町民還元策を模索している。

 同町は全国の風力発電事業の先駆者で、自然エネルギーを利用するまちとしてPRしてきた。1998年から2000年にかけて、国道232号日本海沿いの豊浦地区に風車3基を建設し、出力は合わせて2200`h。過去5年間(19年度は建て替えがあったため除く)の稼働状況を見ると、3基の年間発電量は375万―412万`h時、売電金額は7000万―7700万円で推移してきた。

 風車3基はその後、減価償却期間が過ぎたことや、新風車の風来望4号機の建設が決まったことを受け、19年9月に役目を終え解体・撤去。翌月には新風車の組み立て作業が始まった。建設地は旧風車3基と同じ豊浦地区だが、海側から国道を挟んだ山側に設置した。

 新風車はタワーの高さが78m、最高到達点が119m、出力は2200`h(最大2300`h)で総事業費は約10億円。

 新風車建設に当たって町は、20年以上積み重ねたノウハウを最大限に発揮した。旧風車3基と同じ出力でも新風車1基の方が発電量、売電金額ともに大幅に増加。18年度と比較すると発電量は約1・7倍、売電金額は約1・8倍と大幅に伸びている。高効率な発電設備の導入や、新風車をより高い場所に設置したことが背景にある。

 発電設備は高額ではあるが最新、高効率のドイツのエネルコン社製を採用。

 設置場所にも工夫を施した。旧風車は海抜58―70mの海沿いの崖付近に設置していたが、海からの風は崖にぶつかり斜め下から羽に当たるため、風車が受ける風速は60%程度に落ちていた。

 新風車は海抜110mの山側に建設。周辺には風を遮るものがなく、また高さがあると安定して正面から風を受け止められるため、効率よく羽を回すことができる。

 町では、将来の修繕などランニングコストを見据え日立パワーソリューションズと、メンテナンスに関する包括連携協定を締結。1年ごとの契約で21年度予算には1155万円を計上している。

 交換部品をストックしている日立パワーソリューションズと協定を結ぶことで、メンテナンス費用の低減を図るとともに、修繕時間を短縮し、稼働ロスを抑えることが可能となる。

 福士町長は「売電収入は町民に還元し子育てや教育環境充実など、子どもたちの未来のために使いたい。いつまでも暮らしていける苫前を目指していく」と力を込める。