横浜市環境創造局は2021年度に中部水再生センターの再構築工事をスタートさせる。運転を継続しながらA系統とB系統の下水処理2系統を解体・新規築造する格好で、50年度までの1期・30年間に約120億円を投入し、B系列に担体設備を整備するとともに、A系列を膜分離活性汚泥法(MBR)の高度処理施設に造り替える。続く2期でB系列も高度処理施設に造り替えていく。
中部水再生センターの所在地は中区本牧十二天1ノ1。面積6・83fの敷地に標準活性汚泥法の2系列(A系列、B系列)、三つのポンプ施設(第1〜第3、ポンプは立軸斜流7台と立軸渦巻斜流10台の合計17台)、合流式に対応した二つの雨水滞水池(滞水量9000立方b、3万立方b)などを配置している。
1962年4月にA系列で運転を始めた市内初の下水処理場で、水洗化の普及や処理区域の拡大を受けて86年3月にB系列を稼働させた。1日当たり約9万立方bの下水を処理できる。
運転開始から50年以上がたち、老朽化対策では対応できないため、19年度からパシフィックコンサルタンツ(横浜事務所、横浜市西区)への業務委託を通じて再構築の基本設計を進めていた。
再構築工事の1期では、まずB系列の担体設備を21年度から6年程度で段階的に整備。処理方法を標準法から「担体投入型活性化汚泥法」に切り替え、現在は日量約4万6000立方bの能力をおよそ1・3倍の6万立方b弱まで引き上げることで、MBR高度処理施設に造り替えるA系列の工事中の能力を補完できるようにする。日新技術コンサルタント(横浜出張所、横浜市港北区)が20〜21年度の2カ年で担体設備の基本・詳細設計を手掛けている。
A系列をMBR高度処理施設に造り替える工事も段階的に実施。担体設備整備後のB系列と同様に、現在は標準法で日量約4万4000立方bの能力をおよそ1・3倍の6万立方b程度まで引き上げて、2期で高度処理施設に造り変えるB系列の工事中の能力を補完していく。また、MBRは施設がコンパクトなため、空いたスペースを利用して運転開始時からある建屋などを1期の間に改築する。
環境創造局では市内11カ所ある水再生センターのうち、中部だけでなく▽南部▽北部第一▽栄第二▽港北▽都筑▽神奈川▽金沢―の7カ所も10年後には運転開始から50年以上になるため再構築を計画。1カ所当たり事業期間20〜30年、事業費100億〜300億円を見込む中、BIM/CIMの活用や効率的な発注方法を検討する方針だ。中部の他に、南部、栄第二、港北、西部の4カ所で再構築のための基本設計を進めている。
―高速ろ過施設も来年度着工―
環境創造局はまた、中部水再生センターの高速ろ過施設の工事を21〜25年度の5カ年で実施する。敷地内にろ過池10池を設け、日量約45万立方bの能力で未処理水の油性スカムなどを除去できるようにする計画。21〜23年度に土木工事、24〜25年度に設備工事や付帯工事を進める考え。土木関係の設計は日産技術コンサルタント(横浜事務所、横浜市中区)が手掛けた。
提供:建通新聞社