香川県農政水産部は、農業用ため池の管理・保全に関する法律(ため池管理保全法)に基づき、高松市や丸亀市、坂出市など5市4町に所在する314カ所の民間所有の農業用ため池を「特定農業用ため池」に指定した。昨年8月と12月に続く最終の指定で、県内全域で合計548カ所を指定した。所有者などが堤体の掘削や竹木の植栽などを行う場合、県の許可が必要になる。所有者不明で適正に管理されなくなる恐れのある施設については、県の裁定後、市町が施設管理権を取得し、ため池の維持管理対策を実施できるようになる。
ため池管理保全法に該当する県内の民有ため池は6312カ所で、このうち決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設などが存在し、人的被害を与える可能性がある「防災重点ため池」は1232カ所ある。
これらの浸水状況を市町が検証し、それを基に▽決壊による浸水想定区域のうち水平距離が100b未満の区域に住宅などがある▽貯水容量1000立方b以上で、浸水区域のうち水平距離が500b未満の区域に住宅などがある▽貯水容量5000立方以上で浸水区域に住宅などがある―などの要件に該当するため池を「特定農業用ため池」として指定する。
今回、最終の指定を行ったのは▽高松市の新池や蓮池上池、石ケ谷下池など242カ所▽丸亀市の岡一号池▽坂出市の蓮池や水本池など5カ所▽東かがわ市の新池、渡瀬下池、渡瀬上池▽三豊市の新池、天王上池、馬々谷池など40カ所▽土庄町の大正池、昭和池、第2大正池など13カ所▽小豆島町の新中山池と諸口新池▽三木町の多田光池▽綾川町の小谷池、大興寺下池、箸尾池など7カ所―の計314カ所。
「防災重点農業用ため池も3049カ所を追加指定」
さらに県では、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」(ため池工事特措法)に基づき、決壊した場合に周辺の家屋や公共施設に浸水被害を及ぼす恐れがある農業用ため池として、今回の特定農業用ため池548カ所を含めた3049カ所を「防災重点農業用ため池」に指定した。
県では市町と連携し、危険なため池の補修などを着実に進めていく考え。
提供:建通新聞社