東京都財務局によると、同局が契約する大規模な案件の2019年度の不調率は13・3%で、入札契約制度改革の試行期間中(17年6月26日〜18年6月24日公表案件)の17・6%と比べて改善傾向にある。平均落札率は93・5%で、試行期間中の93・6%から、ほぼ横ばいとなった。入札契約制度改革の本格実施から約2年が経過した状況をまとめた。
不調率は、財務局契約案件で9・9%(制度改革前)から17・6%(試行期間中)、13・3%(19年度)と推移している。各局契約案件では、11・0%(制度改革前)から23・2%(試行期間中・17年10月30日〜18年6月24日公表案件)、19・5%(19年度)となり、いずれも試行期間中に不調率が上昇したものの、本格実施後は改善傾向となっている。
平均落札率については、財務局契約案件で、制度改革前(16年4月1日〜17年3月31日開札案件)が93・2%、試行期間中が93・6%、本格実施後の19年度は93・5%と、ほぼ同じ水準で推移してきた。
各局の契約案件では、制度改革前が平均落札率90・9%だったのに対し、試行期間中は93・5%に上昇したものの、19年度は92・7%とやや下がった。
この他、JV結成義務の撤廃に関しては、混合入札でJVが落札する割合は19年度に16・4%となり、試行期間中の14・9%から増加した。
混合入札を導入したことによる中小企業の受注状況の変化を見ると、受注件数ベースで、試行期間中の53・3%に比べ、19年度は62・0%に上昇。受注金額ベースでも、試行期間中は36・2%だったが、19年度は43・5%に増えている。
18年6月に開始した入札契約制度改革の本格実施では、予定価格の事後公表を原則としながら、中小企業の積算負担の増大や各局案件での不調の多発などを踏まえ、予定価格が一定規模を下回る案件(建築4・4億円未満、土木3・5億円未満、設備2・5億円未満)は事前公表に戻した。
JV結成義務は撤廃し、混合入札を導入する一方、総合評価落札方式の入札で、中小を含むJV結成を行った場合の加点幅を引き上げるとともに、都内中小とのJV結成を入札参加条件とする「技術者育成モデルJV工事」を実施している。
この他1者入札は継続。低入札価格調査制度は一定規模以上(予定価格が建築4・4億円以上、土木3・5億円以上、設備2・5億円以上)の案件に適用し、これを下回る工事に最低制限価格を設けることにした。
本格実施前の試行段階では、1者入札を中止し、予定価格は事後公表、JV結成義務は撤廃。その結果、1者入札の中止や不調の多発、低入札価格調査での失格が相次ぎ、事業執行が遅れるといった課題が発生したため、都は入札監視委員会の提案や業界の意見を踏まえて制度の内容を見直し、本格実施として新たな制度を運用してきた。
提供:建通新聞社