熊本地震で落橋した阿蘇大橋(南阿蘇村)の下流に整備を進めていた国道325号阿蘇大橋ルートが完成し、7日に開通した。地震から5年を前に熊本都市圏と阿蘇地域を結ぶ主要幹線道は完全復活。特に今回復旧した新阿蘇大橋は、地域の明るい未来に繋がる希望の架け橋になるものと期待されている。
国の災害復旧代行事業として進められ、元の橋から600b下流位置に橋長525b(アプローチ部180b、渡河部345b)の新橋を建設。将来的な地震の発生に備え、推定活断層付近の構造は単径間(単純桁)を採用。被害を最小限に留め、復旧の迅速化を図っている。
早期復旧を目指すため、24時間施工のほか、足場と型枠を一体化して作業を効率化するクライミング工法や、橋桁の張出に超大型移動作業車を導入するなどして工期短縮を実現した。
国土交通省熊本復興事務所は、熊本地震で被災した阿蘇地域の国・県・村道4路線と阿蘇大橋地区斜面の復旧代行事業に取り組んだ。2017年8月に長陽大橋ルート(村道栃の木〜立野線)、19年9月に俵山トンネルルート(県道熊本高森線)、20年10月に国道57号阿蘇大橋地区が完成しており、今回の国道325号阿蘇大橋ルート開通により、震災前のアクセスルートが完全に回復したかたち。阿蘇大橋斜面は20年3月に工事を概成している。
なお長陽大橋ルートで仮復旧していた戸下大橋は、阿蘇大橋ルートの開通後に架け替えを進める。このため長陽大橋ルートは工事完了まで通行できない。
同日は現地で式典が開かれ、赤羽一嘉国土交通大臣や坂本哲志内閣府特命担当大臣、蒲島郁夫県知事、南阿蘇村の吉良清一村長、施工関係者ら約50人が出席。テープカットやくす玉開披などを行い、工事の完成を祝った。
赤羽大臣は施工関係者に対して「非常に困難な現場で奮闘頂き、無事故で開通の日を迎えることができた」と称え、「あらためて我が国の建設業界の技術力と実行力のすばらしさに心から感嘆した」と式辞を述べた。
蒲島知事は「南阿蘇村はもとより、阿蘇地域は県全体の観光や産業の復活再生に大きな効果をもたらす。今後も様々な政策を展開し、九州観光の要である阿蘇の総合的復興を推し進めていく」と挨拶。
坂本大臣は「世界トップレベルの技術水準で開通が実現した。地元の一人として心から感謝を申し上げたい」、吉良村長は「完成を心待ちにしていた。言葉ではいい尽くせないほど嬉しい」と話した。
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