第30回社会資本整備審議会道路分科会近畿地方小委員会(委員長=小林潔司・京都大学経営管理大学院特任教授)が3月9日に開かれ、国道43号名神湾岸連絡線について2021年度の新規事業採択時評価を行い、「新規事業化は妥当」とした。今後、道路分科会に報告し、21年度予算に向けた事業採択を目指す。事業採択されれば、調査設計などに入る予定だ。
名神湾岸連絡線は、兵庫県西宮市今津水波町〜西宮浜2丁目の延長約2・7`(設計速度時速60`)。全区間を2車線(幅員14・5b)の高架構造でつなぐこととし、名神高速と阪神高速3号神戸線に接続する(仮称)西宮ジャンクション(JCT)・インターチェンジ(IC)を起点に、陸上を通る高架部、西宮港航路を橋梁でつなぐ海上部を経て、阪神高速道路5号湾岸線大阪・神戸方向と接続する(仮称)西宮浜JCT・ICまでを整備する。
陸上部の高架の施工では、既設橋梁撤去、コンクリート撤去、橋脚の基礎場所打ち杭工、土留め、土砂掘削、鋼製橋脚架設、鋼橋架設、コンクリート床版、アスファルト舗装などを実施。海上部ではグラブ浚渫、橋脚ケーソン基礎、鋼橋架設、ケーブル桁架設、アスファルト舗装などの工事を行う。
全体事業費は約1050億円を見込む。内訳は工事費約629億円、設計・測量・地質調査委託料に約149億円、用地・補償費に約268億円。
国土交通省近畿地方整備局の植田雅俊道路部長は「名神湾岸連絡線は地域の関心、思いが強い事業。新年度からの事業化を目指していきたい」とあいさつし、審議を求めた。
委員からは沿道環境への影響や渋滞緩和、物流効率化、防災機能に対する貢献などについて確認、配慮を求める意見が出ていた。3号神戸線の西宮IC以西は、全国の都市高速道路で渋滞損失時間が1位と2位の区間があるなど慢性的な渋滞が続いており、名神湾岸連絡線の整備による渋滞緩和への期待が大きい。
提供:建通新聞社