京都市は11日、住宅審議会に「新たな京都市住宅マスタープランの策定に向けた今後の住宅政策の基本的な考え方について」の答申案を示した。
令和2年1月に京都市長が京都市住宅審議会(会長・田光雄京都美術工芸大学工芸学部教授)に諮問。住宅審議会は、延べ9回にわたり、住宅政策の全般について審議を進めてきた。
答申案は、長期的な展望を見据えた京都市の今後の住宅政策のあり方を示すとともに、今後10年間をメドに取り組むべき住宅政策の基本的な考え方について、とりまとめた。
主な内容をみると、市営住宅について「利活用可能な住戸がある一方で、耐震性が不足する団地や老朽化が進む団地など、今後の利活用が見込めない住戸も多くある。そのため、今後は、周辺環境や住宅性能・規模、団地内のコミュニティ等も考慮しつつ、ニーズを踏まえた利活用を図りながら、一方で利活用が見込めない住戸は入居実態に合わせて減らしていくなど、適正な管理戸数及び供給戸数に見直していく必要がある」「公営住宅法によらない新たな利活用も検討すべき時期に差し掛かっている」「将来を見据えて、需要に見合った管理戸数や供給戸数に見直すなど『市営住宅の最適化』に向けた取組を進めるべき」「民間の住宅ストックや活力の更なる活用に注目すべき」「老朽化した団地における建替えや改善、入居者移転等を総合的に行う団地再生事業に取り組んでおり、今後も集中的に取り組んでいくべき」「団地再生事業等の団地の建替えにあたっては、家族構成や規模に応じた多様な住宅の供給に配慮すべき。建替えで創出される用地等は、地域コミュニティの活性化や都市活力の向上に資するまちづくりの資源として、移住・定住の促進や、福祉、子育て、生活利便など多様な機能の導入を図るために活用されることが期待される」「社会福祉法人によるグループホーム等や地域まちづくり活動の拠点など、公営住宅の枠を超えた利活用も検討すべき」「需要に見合った市営住宅の供給・管理を進める一方で、需要が無い又は極めて少ない住戸は経営的な視点等を考慮し廃止するなど、管理戸数や供給戸数を削減していきながら全体的な最適化を図るべき」「市営住宅は、多くの住棟が同時期に耐用年度を迎えるため、耐震性能等の基本的な性能があり、かつ需要がある団地は、長寿命化を図るなど、更新時期の平準化を図るべき」などと、今後の方向性などを示した。
民間住宅では、高経年化した分譲マンションについて、適正な管理組合運営や建物修繕の促進とともに、耐震化を促進するための方策も検討を行うことが求められるとした。