国土交通省は9日、交通政策審議会港湾分科会第15回事業評価部会をオンライン併用で開催。令和3年度予算に向けた新規事業採択時評価の対象箇所(港湾整備事業)について、有識者から意見を聴取した。
京都関係では、舞鶴港和田地区国際物流ターミナル(マイナス12m)整備事業について審議。事業の効果について委員から質問があった。新規事業採択時評価については「適当」であるとした。
総事業費は71億円見込む
うち港湾整備事業費46億円 事業の目的は、舞鶴港において、貨物需要の増大や船舶の大型化に対応するため、和田地区において岸壁の整備等、国際物流ターミナルの整備を行うもの。
事業概要は整備施設が[直轄]岸壁(水深12m)210m、[起債]ふ頭用地7・0f。事業期間は令和3年度〜令和9年度で令和7年度の暫定供用を目指す《=表参照》。総事業費は71億円(うち港湾整備事業費46億円)。
事業評価部会では、舞鶴港の課題について、舞鶴港和田地区は現在、珪砂等のバルク貨物やコンテナ貨物の取り扱いがあり、バースが混雑していることを挙げ、こうした中、背後企業における新規の設備投資により、バルク貨物の取扱が増加する見込みであるとし、和田地区公共岸壁の利用が見込まれる主な企業及び利用内容を示した。
新たな貨物需要(4社5件)は、木質チップ(製紙原料)(将来貨物量10万t)(想定最大船舶4万DWT。輸入)(将来寄港頻度、5回/年)(令和3年3月からロシア産木質チップの輸入を開始する予定。今後、舞鶴港における輸入量を10万tまで増やす計画)、木質ペレット(バイオマス発電燃料)(将来貨物量10万t)(想定最大船舶4万DWT。輸入)(将来寄港頻度、3回/年)(令和7年バイオマス発電本格稼働)及びPKS(バイオマス発電燃料)(将来貨物量10万t)(想定最大船舶3万DWT。輸入)(将来寄港頻度、10回/年)(令和7年バイオマス発電本格稼働)、鉱産物(スラグ)(人工砂原料)(将来貨物量10万t)(想定最大船舶1万DWT。輸入)(将来寄港頻度、10回/年)(天然資源に代わる代替材の使用を計画。本格運用時には舞鶴港の利用を計画)、コークス(電極等原料)(将来貨物量7万t)(想定最大船舶1500DWT)(将来寄港頻度、47回/年)(令和6年までの設備投資に伴う増産に対応するため、舞鶴港和田地区の利用を計画)で、これらに対応した新たな岸壁の整備が必要であると事業の必要性・緊急性を説明した。
事業の効果は、@国際コンテナ戦略港湾政策への寄与(事業の対象箇所で取り扱われる貨物を原料として生産される製品の一部は、コンテナ貨物として阪神港より輸出される。事業の実施により原料の需要増加に対応でき、阪神港からの輸出量が増加することで、国際コンテナ戦略港湾政策に寄与する)A地域産業の振興、背後企業の新規立地・投資(▽事業の実施により、木質チップやコークス等の原材料、エネルギー関連(バイオマス発電)貨物の輸送が効率化し、関連産業も含めた幅広い企業の競争力が向上するとともに、製品価格の低下に寄与する▽近傍の舞鶴港を利用できることにより、陸上輸送距離が短縮され、トラックドライバー不足の解消が期待される▽舞鶴港の利便性が向上することで、接続する道路ネットワークの周辺地域の利便性も向上し、背後圏の工業団地等への更なる新規立地の促進が期待される)B脱炭素化・カーボンニュートラルへの寄与(事業の実施により、大型船を利用することによるバイオマス燃料の輸送効率化が図られ、港湾背後に立地するバイオマス発電所への安定的な燃料供給がなされることで、脱炭素化・カーボンニュートラルに寄与する)C排出ガスの減少(陸上輸送距離の短縮に伴い、自動車のCO2排出量が減少する(CO2…209・5t−C/年)。
主な便益は、@輸送距離の短縮による輸送コスト削減効果(PKS)(近傍の舞鶴港を利用できることにより、輸送距離が短縮され、PKSの陸上輸送コストが削減される)単年度便益2・9億円/年A輸送距離の短縮による輸送コスト削減効果(スラグ)(近傍の舞鶴港を利用できることにより、輸送距離が短縮され、スラグの陸上・海上輸送コストが削減される)単年度便益2・6億円/年B輸送距離の短縮による輸送コスト削減効果(コークス)(近傍の舞鶴港を利用できることにより、輸送距離が短縮され、コークスの陸上輸送コストが削減される)単年度便益1・2億円/年。
総便益は117・8億円、総費用は56・7億円とし、費用便益比(B/C)は2・1と試算した。純現在価値(B−C)は61・1億円と算出した。