高知県は建設業活性化プランの見直しに着手した。若者や女性・外国人などの人材確保やデジタル化の推進など生産性向上への対応を強化する考えで、有識者で組織する検討委員会で内容を詰める。
建設業活性化プランは2014年2月に策定し、「公共工事の品質と担い手確保」「建設業の活性化への支援」「コンプライアンスの確立」の3本柱で取り組みを進めてきた。しかし、建設業の従事者数は特に若年者層で減少が続いており、高知県建設業協会の会員を対象に実施したアンケートでも「雇用したいが応募がない」との回答が85%を占めるなど、人材確保が喫緊の課題となっている。
検討委員会は、高知工科大学の磯部正彦学長を委員長とし、高知県建設業協会の西野精晃副会長、高知県測量設計業協会の西川和正会長、ICTに精通する福留開発の井上里沙氏の他、小・中・高校の関係者、人材確保に関する分野の実務者ら9人で構成。初会合では、県が人材確保策と生産性向上のための候補として36の取り組みを示し、ここから絞り込んでいく考えを説明した。
委員による意見交換では、「ICTと担い手育成をつなげ、現場で女性が活躍できる環境を」「女性が活躍できるノウハウを外国人の活躍にも生かすことができるのではないか」「下請けや小規模業者への対応を加えてはどうか」などの提案があった。学校関係者からは「親、教員とも建設業に対するイメージがわいていない。建設業に対するプラスのイメージを思わせるようなPR動画を小中学校向けに作ってはどうか」「建設業への就職希望者のうち、半数は工業系以外。しかし普通科の教員には情報が少ない。保護者を含めて現場の魅力を知ってもらうことが必要」などの意見が出た。
一方、建設業からは「デジタル化が加速することを期待しているが、そのためにも事業量の確保が重要」「建設業のよいイメージを知ってもらえることが大事」などの声があり、全体的に将来の担い手となる児童生徒と保護者、教員に対し、建設業の魅力を発信し、アプローチを強化するという意見が目立った。
県では今回の意見を反映しながら、5月に第2回、7月に第3回会合を開催し中間報告案を決定、すぐ実行できる施策に関しては9月補正で予算化する方針。さらに11月に開催予定の第4回会合でプランの最終案を決定し、2022年度当初予算に組み込む考え。
提供:建通新聞社