高知県は2021年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は4632億1300万円で前年度当初比0・1%増。当初予算案での一般会計は3年連続の増加で、04年度に次ぐ歴代2番目の規模となる。一般会計のうち投資的経費は908億5500万円で12・3%減だが、2月補正予算案に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」などを活用した経済対策分として307億7800万円を盛り込んでおり、2月補正案を加えた実質的な当初予算ベースでは5・4%増の1216億3300万円となる。
県によると、繰越分を含めた21年度の実質的な投資的経費は1727億円で前年度比23億円の増。03年度の1791億円に次ぐ2番目の規模で、災害復旧費を除いた普通建設事業費1618億円は03年度以来最大の規模となった。このうち国の5か年対策などには317億円を投入、これは前年度の3か年緊急対策と比較しても88億円の大幅な増加となり、有利な財源を最大限活用し、防災・減災のためのインフラ整備を加速する。一方、5か年加速化対策以外の事業については、前年度に引き続き緊急性の高い事業や事象効果の早期発現が見込まれるものに重点化する。
県が進めている五つの基本政策のうち「インフラの充実と有効活用」には当初案に842億円、2月補正の経済対策を含めると1150億円を計上。特に1・5車線的道路整備には前年度比1・4倍の49億2400万円、河川やダムの浚渫には2倍の16億3800万円と大幅に増額する。この他、四国8の字ネットワークを構成する道路事業は85億1800万円、緊急輸送道路などの橋梁耐震対策に22億4900万円、緊急輸送道路などの法面防災対策に37億8100万円、河川の再度災害防止対策に28億4400万円、浦戸湾内に流入する河川堤防や水門・排水機場の地震・津波対策に27億8300万円、浦戸湾の三重防護に28億9600万円、山地治山事業に14億9000万円、山地防災事業に10億9600万円、土砂災害対策に24億9500万円などを盛り込む。
インフラ整備以外の事業では、安芸中・高校と安芸桜ケ丘高校の統合、清水高校の高台移転に伴う施設整備に10億6600万円、佐川町加茂に建設する新たな管理型産業廃棄物最終処分場関連に2億8200万円、牧野植物園の新研究棟建設などに2億3300万円を計上。また警察庁舎の整備費には35億3600万円を計上し、新高知署の整備を継続する他、宿毛署、室戸署の高台移転に着手する。
M田省司知事は「国の5か年加速化を活用し、実質的な当初予算ベースでは積極的な予算を編成した。新型コロナウイルスの影響を受けた地域経済を下支えするため、国の財源を最大限活用し、防災・減災など地域の実情を踏まえたインフラ整備を加速したい」と話した。
提供:建通新聞社