東京都下水道局の経営計画案では、区部の主な整備事業に5カ年で約9000億円(工事・用地費、事務費)を投じ、枝線の再構築や震災対策、エネルギー・地球温暖化対策などに取り組む。事業運営体制については、運転管理の困難度が小さい落合水再生センターと清瀬水再生センターに包括委託を導入。導入効果や履行状況などを検証し、順次拡大を検討する。
計画期間の主要施策には、▽再構築▽浸水対策▽震災対策▽汚泥処理の信頼性強化と効率化▽合流式下水道の改善▽処理水質の向上▽エネルギー・地球温暖化対策―を盛り込んだ。
下水道管の再構築は、整備年代の古い都心4処理区・面積1万6300fを第1期として優先して進めている。29年度をめどに第1期再構築エリアを完了させることを目標に据え、第2期の着手に向けた検討も始める。
浸水対策では、激甚化する豪雨などを踏まえて取り組みを強化する。1時間50_降雨への対応を基本とした施設整備に加え、甚大な被害が発生している地区では75_降雨に対応する整備を推進する。
また、首都直下型地震などが発生した場合に備え、下水道管の耐震化を加速。これまで避難所などを優先して進めてきた対象範囲を拡大し、一時滞在施設や災害拠点連携病院などにつながる下水管も追加。下水道管とマンホールの接続部の耐震化とマンホールの浮上抑制対策などを進める。
この他、下水道事業の安定・経済性の確保や技術力の維持向上といった視点から、水再生センターの水処理施設の運営の包括委託を22年度に始める。委託に当たっては性能発注方式を採用。区部にある落合水再生センターは東京下水道サービスに、多摩の清瀬水再生センターは民間事業者に委託する方針。直営を続ける水再生センターについては、人工知能(AI)を含むデジタル技術を活用した運転支援技術の導入など、次世代の下水道システムの構築に取り組む。
提供:建通新聞社