川崎市は、民間活力の導入を想定している「川崎市中央卸売市場北部市場の機能更新」についてのサウンディング型市場調査の結果を公表した。主な意見を見ると、『再整備の方向性』の条件を満たしつつ最も効率的に機能更新を図ることができるのは全面建て替えであり、一部建て替えの場合は多くの時間を要し、整備計画の難易度が上がると指摘された。また、発注方法については、市場機能の担保やリスク管理の観点からは市が市場施設を所有するBTOまたはDBO方式が、維持管理・運営などの優位性の観点からは民間が市場施設を所有するBOT方式などが考えられるとの意見・提案が示された。調査結果などを参考にし、「(仮称)卸売市場機能更新にかかる基本計画」を策定する予定だ。
調査には、不動産業、建設関連事業者、建物管理事業者など11団体・17社が参加。
一部建て替えについては、@異なる施工者にて整備された既存施設を全て精査し、長寿命化と高機能化を併せて整備計画を策定するのは多くの時間を要するA既存施設の劣化度により工事内容が異なることや残す施設の位置によりローリング工事に制約が発生することなどから、整備計画の難易度が上がる―と課題を指摘した。
また、敷地内に元からある空地や一部解体で生み出したスペースに建物を新築し、移転する「ローリング工事」については「実施は可能」としながらも、工期は5年〜9年と長期にわたるため、リスクが大変大きいとした。
施設整備コストについては、設計・施工一括発注方式により、従来方式と比較してコスト低減が図れると指摘。市が市場施設を所有する場合、10〜20年(大規模修繕に着手する前まで)、民間が市場施設を所有する場合、30〜50年(余剰地定期借地期間と同等)となるという。
市場施設整備と余剰地活用の一体的発注について@市場施設の整備と余剰地の活用を一体的に発注することで、建物の共有管理などを見据えた施工が可能となり、整備・運営コストの低減が図れるA市場敷地と余剰地を一体的に捉え、抜本的・効率的な動線の改善が図れる―というメリットが示された。
北部市場(宮前区水沢1ノ1ノ1)は、敷地面積16万8587平方bで、建物は管理事務所棟、青果棟、花き棟、関連商品売場棟などの諸施設から構成し、延べ床面積9万3900平方b。取扱部門は青果部、水産物部、花き部。竣工から38年が経過し、市場を取り巻く環境の変化、老朽化への対応などが必要なことから、機能強化を含めた施設の再整備を検討中。民間事業者の創意工夫により、効率的・効果的な再整備と機能強化を行うとともに、市場内事業者、市民の利便性向上や市の財政負担軽減などを図る考えで、民間事業者の考え方やアイデアを聞くため、昨年12月に「サウンディング型市場調査」を実施した。
市場の機能更新に当たっては、棟ごとに解体、移転、建設を繰り返して進めるローリング方式を想定しているため、工事期間が長期になる見通し。市は、設計施工・一括発注方式による整備の効率化や、PFI手法による民間資金の活用などを検討し、可能なかぎり早期に整備できるよう取り組んでいく考えだ。ただ市は、今回のサウンディング調査による意見・提案は、基本計画等の内容を拘束するものではないとしている。
提供:建通新聞社