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鹿児島建設新聞
2021/02/18

【鹿児島】県土木部 大型補正で不調・不落対策/現場代理人 3件まで兼任可

 県土木部は、国土強靭化関連を中心とした大型の3月補正予算執行に向け、四つの柱を盛り込んだ入札の不調・不落対策を試行する。業界から多くの声が上がっていた現場代理人の兼任件数は、従来の2件から3件(計7000万円未満)まで拡大。余裕期間の設定は120日間に見直し、監理技術者等の途中交代も一定の時点で可能となる。ほか、災害復旧等の指名競争入札で1者応札となった場合は「不調随意契約」を適用することも決めた。 
 従来2件まで(1件当たり3500万円未満)としていた現場代理人の兼任工事は、今回の見直しで「3件まで」(当初請負金額計7000万円未満)に拡大。ただし、設計変更で請負金額の合計が7000万円以上になった場合は、受注者の都合によって現場代理人の変更を認め、負担を軽減する。なお、10日以前に締結した工事は先行分として緩和対象に含むことができる。 
 余裕期間を設定した契約方式は、落札決定通知の翌日から起算して「120日間」(従来は90日間)まで拡大。期間を1カ月程度延ばすことで、受注者が技術者や施工体制をさらに計画的に確保しやすい環境をつくる。 


■技術者交代、不調随契も 

 業界の技術者不足を踏まえた対応では、主任技術者や監理技術者を配置するすべての工事(営繕を除く)で途中交代が可能となる。 
 交代を認めるのは、品質管理や出来形管理が必要な工事目的物の施工が完了した「工程上一定の区切りと認められる時点」と定義付け、仮設備撤去や後片付け、検査等を行う期間は配置技術者の交代を認める。ただし、交代する者は入札公告等の基準を満たすことを条件とし、受発注者協議で工事の継続性等に支障がないか確認した上で判断する。 
 このほか、災害復旧事業など特に緊急性を要する工事には「不調随意契約」を適用する。該当する指名競争入札で1者しか応札がなかった場合、再入札を行うことなく不調随契に移行。昨夏の豪雨災害で発注案件の増加が見込まれる中、円滑な施工を確保するのが狙いだ。 
 すべて10日以降の執行伺い分から適用する。 


★記者の眼 

解消できるか応札控え=@
 国が打ち出した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(2021〜25年度)は、初年度分の事業費を20年度の3次補正予算に盛り込み、『15カ月予算』と位置付けて執行。これを受け、県は大型の3月補正予算を計上し、発注手続きの準備を進めている。 
 今回の不調・不落対策は、この事業量増を見据えた動きと解釈できる。特に「現場代理人の兼任」や「配置技術者の途中交代」は、技術者不足に頭を抱える業界の声を反映した内容として評価したい。 
 発注を前に、県は業界団体との意見交換を通じて課題や方向性を共有する構え。3月中旬には今年度5回目となる発注見通しの公表が想定される。 
 「予算の円滑な執行」を目指す発注者に対し、「技術者不足」や「下請け等の確保」に苦慮する受注者。この対策が応札控え≠フ解消にどれだけの効果をもたらすか。市町村の対応も含め、今後の動きを注視していく必要がある。 
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長)

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