大串〜白似田間を早期に整備 西海・子々川〜日並間 南北幹線道路を見極め整備を 県の西彼杵道路計画検討委員会の中村聖三委員長ら関係者は12日、未着手の西海市大串〜時津町日並間に関する提言書を県に提出した。優先的に整備する区間については「まずは大串〜白似田間を早期に着手する」と盛り込んだ。提言書を受け取った平田研副知事は、西彼杵道路について「県内の2大都市を結ぶ大事な道路で、住民の期待も大きい」とした上で、「今後詳細な検討を進め、早期着手・早期完成に向けて努力したい」と応えた。
提言書では▽IC(インターチェンジ)配置・概略ルート▽優先整備区間▽配慮事項―の3項目を記載。このうち概略ルートは、リダンダンシー(災害時の多重性)の確保や産業拠点・観光資源へのアクセス、施工性の観点で国道206号沿い(延長約23`)≠選定。ICは、主要拠点などの集積箇所や大村湾側、半島西側へのアクセス道路との接続を考慮し「白似田地区」「形上地区」「長浦地区」「西海・子々川地区」への配置が望ましいとした。
優先整備区間は、ルート上の各IC間(5区間)をさまざまな整備効果を基に評価して選定。この結果、既存の大串ICから白似田地区のICまでの延長約6`(区間@)が、高速ネットワークの連続性による時間短縮や災害時の安全・安心の向上の観点から評価が高いことから「まずは早期に着手する」と位置付けた。
一方で、西海・子々川地区のICから、現在整備中の日並IC(仮称)間の約4`(区間D)も、現道の交流量や混雑度解消の観点で評価が高いことから「IC周辺の交通解析を十分に行った上で、(西彼杵道路が接続する)長崎南北幹線道路の進捗状況を見極めながら大串〜白似田間に引き続き着手することが望ましい」とした。残る区間は「西彼杵道路の整備効果を最大限発揮させるためには、早期の全線完成が望まれる」とし、前述の区間に引き続き順次整備を進めていく必要があると評価した。
配慮事項では、IC位置の決定に際し「渋滞状況や主要拠点からのアクセスを考慮し、半島西岸側からのアクセス性向上策について検討することが必要」と指摘。さらに、追越車線や休憩施設の設置検討も求めている。
中村委員長は、これらの内容を説明した上で、提言の検討に当たっては「オープンハウスなどにより一般の方からも多くの意見をいただいた。その意見も踏まえて計画を進めてほしい」と発言。同席した検討委員会メンバーの河西宏NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会支援アドバイザーは、長崎魚市からの物流や、西彼杵半島西岸で想定されている海洋エネルギー産業拠点の動きも踏まえた柔軟な対応を要望。長崎大学大学院の吉田護准教授は、西彼杵道路について、地震をはじめとする大規模な自然災害時の避難・支援など危機管理上重要な道路とし、確実な整備を訴えた。
県側も、ミッシングリンクの解消やWネットワークの整備による国土強靭化、ポストコロナの分散型国土の受け皿としての環境整備の観点からも、西彼杵道路を着実に進めていく決意を示した。