京都市長の諮問機関として昨年2月に設置された京都市持続可能な行財政審議会は、3月に市長に答申する。
市は15日、答申骨子案を行財政審に示した。
答申骨子案の主な内容をみると、一般会計が極めて危機的な財政状況にある中、特別会計や公営企業会計への繰出金について、総務省繰出基準の有無や基準の内容に留意しつつ、各会計の収支の状況を踏まえ、全会計連結の視点であり方を検討する必要があるとした。これまで積極的な浸水対策を実施してきたことなどにより、他都市と比べ雨水処理負担をはじめとする公共下水道事業繰出金が高い水準にあると指摘。このため、一般会計の財政健全化期間中は、公共下水道事業の資金収支に与える影響には留意しつつ、繰出金を一時的に減額することを模索すべきとした。
昭和40〜50年代にかけて集中的に整備された公共施設が更新時期を迎える中、全ての公共施設を今後も維持し続けることは困難な状況とし、公共施設等総合管理計画には、施設総量の縮減について思い切った目標設定を盛り込むことが不可欠とした。
未利用地や特定目的基金等の保有資産をいかに財源に結び付けられるかは、当面の財政運営を左右するため、極めて重要な取組と位置付け。まず活用可能な資産を優先的に活用すべきとした。また保有資産は「未利用の間の機会損失」の観点から、早期の活用を図ることが極めて重要と指摘。未利用地の活用にあたっては、市全体に波及するような効果的な活用を促す視点が重要とした。また民間事業者が参入しやすくなるような誘導策の検討も必要とした。
投資的経費については、今後、職住近接のまちづくりや若年層の定住促進を図っていく必要がある中で、将来的な都市の持続性の確保、税収増加に効果が高いと認められる事業は限られた財源の中でも着実に進める必要があるとした。
一方、必要性・緊急性・費用対効果・将来の市民負担等を考慮し、事業の徹底的な「選択と集中」を行い、投資的経費の総額を的確にコントロールする必要があるとした。
事業採択にあたっては、整備完了後の後年度負担(運営費・維持管理費)や税収増加効果を含めたトータルの費用対効果を検証することが重要とし、必要に応じて、費用対効果の検証結果を事前に公表する仕組みも検討すべきとした。
税収増加につなげるまちづくりでは、景観の骨格は維持しつつ、創造的なまちづくりが実現するような土地利用の規制の見直しや既存遊休ストックの徹底活用(空き家の住居としての再利用、京町家オフィスの更なる普及など)を進めていく必要がある。
これらを通じて、都市機能誘導区域(都心部・らくなん進都)等への戦略的なICT企業等の誘致、地域企業の南部「創造」エリアを含めた市域内での事業展開の促進、市街化調整区域における産業用地の創出を行うとともに、ポストコロナを見据えた職住近接の価値観を体現するため、合理的・創造的な用途のあり方や他市との境界区域の有効活用についても積極的な検討が必要とした。
このほか、PFIをはじめとする公民連携手法の積極的な活用、デジタル化の推進など業務の効率化などに積極的に取り組むよう求めた。