東京都は、工事関係書類の削減・簡素化を全庁的に加速させる。2月9日に開いた東京都技術会議(座長・上野雄一都技監)で、工事関係書類のうち、統一様式の約3割、各局が独自に定める様式の約2割の削減・簡素化が可能だと提示。今後、各局で基準を改定し、全ての工事を対象に書類の削減・簡素化に取り組む。
2020年度の技術会議では、新型コロナウイルス感染症を契機とした建設現場の働き方改革を検討した。各種行政手続きを効率化するため、デジタル化の推進と合わせ、書類の削減・簡素化を進めることで受発注者双方の生産性向上と負担軽減につなげる。
受注者が提出する書類の削減・簡素化については、実際に削減・簡素化が可能な様式を抽出してモデル工事を実施した。20年9〜10月にかけて、各モデル工事の受注者と都の監督員にアンケート調査を行い、削減効果なども検証した。
アンケートの結果、効果的だったと回答があった主な書類は、下請負届や休日等の工事施工届、下請負者一覧表など。例えば、下請負届は、施工体制台帳と施工体系図に記載がある場合は提出不要とした。
また、提出書類を減らしたり、メールでの提出を受け付けたことで、書類の作成時間や提出に必要な移動時間が削減できたという。また、提出の際に人との接触機会が減り、感染防止にも寄与した。
都では、これまでのモデル工事での効果なども踏まえ、削減・簡素化が可能な工事関係書類を選定した。
各局(財務局、都市整備局、建設局、港湾局、交通局、水道局、下水道局)が共通して用いる統一様式は32様式あるが、このうち削減・簡素化が可能な書類として約3割に当たる11様式を挙げた。
内訳は、「削減」が▽工事着手届▽経歴書▽監理技術者資格者証(写)及び監理技術者講習修了証(写)▽下請負届▽下請負者一覧表▽主要資材発注予定報告書▽施工管理記録等報告書―の7様式。
「簡素化」は▽建退共掛金収納書▽休日等の工事施工届▽承諾申請書―の3様式。材料搬入予定調書は削減と簡素化のいずれも可能だとした。
この他、7局が独自に定めている様式は延べ246様式ある。このうち、コリンズ登録に関する書類など41様式で削減または簡素化が可能だとまとめた。それぞれの局で内容を精査する。
提供:建通新聞社