川崎市が2月8日に発表した2021年度当初予算案は、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算規模が1兆5042億1677万円で、前年度比1・3%(180億円)の増となった。一般会計は前年度比3・6%(283億円)増の8208億円と、7年連続で過去最大規模。このうち投資的経費は、11・9%に当たる981億円で、前年度より97億円の減。本庁舎建て替え事業、橘処理センター整備事業、義務教育施設の再生整備などの進捗による支出増があるものの、羽田連絡道路整備事業、京浜急行大師線連続立体交差事業、等々力緑地再編整備事業の進捗による支出減がみられる。災害復旧費には、令和元年東日本台風により被災した、浮島2期地区廃棄物埋立護岸の復旧工事費などを計上している。
主な建設事業を見ると、災害時の拠点となる本庁舎の建て替えには62億6397万6000円を計上。市民の安全で安心な暮らしを確保するため、災害対策活動の中枢拠点として、高い耐震性能と業務継続性を確保し、22年度の完成を目指す。
学校施設の環境整備としては116億3909万円を確保し、学校施設長期保全計画に基づく学校施設の改修(補正を含めて校舎25校、体育館9校)、学校トイレの快適化(補正を含めて46校)を推進する。また、児童生徒の増加に対応するため、校舎の増築や、新川崎地区の小学校新設に向け基本・実施設計に着手する。
新規事業の「かわさきGIGAスクール構想」には12億4644万円を充当し、1人1台のパソコン端末、高速大容量の校内LANを活用し、個別最適化された学びを推進する。
上下水道施設などの耐震化や、応急給水拠点整備のためとしては170億3379万7000円を充てる。上下水道施設、管路、管渠などの耐震化を推進し、22年度までに重要な水道管路と配水池、配水塔の耐震化を完了させる。また、避難所となる小中学校などに既設給水栓を利用した開設不要型応急給水拠点を整備する。
気候変動への対応では、地球温暖化対策の推進や大雨による水害を防止する施設の整備などを進めるため、46億8232万5000円を予算化。庁舎などの建物内照明をLED化し温室効果ガス排出量を削減する他、浸水シミュレーションなどに基づく効果的な浸水対策を推進する。
消防力強化と救急医療体制の強化には、18億8237万6000円を充て、栗谷出張所の改築や、消防指令センターの消防指令システム機器とバックアップ電源装置の更新、大規模災害時の部隊運用改善などのシステムの一部機能強化―を実施する。
安全対策によるまちの価値向上に向けては9億0687万4000円の予算を計上。LED防犯灯の計画的な維持管理や新規設置、防犯カメラの設置支援、鉄道主要駅でのホームドア設置に対する支援、横須賀線武蔵小杉駅の下りホーム整備に関連した新規開札口設計などに取り組む。
待機児童の解消関係では791億0919万6000円の予算を計上。ハード面の取り組みとして、宮前区内の土橋保育園・地域子育て支援センターの仮園舎整備、多摩区内の土渕保育園・地域子育て支援センターの基本・実施設計に着手する。
この他の主な建設関連事業は次の通り。
■児童相談体制の強化に向けた施設整備
▽中部児童相談所の改築―基本・実施設計▽北部児童相談所の増築―実施設計▽こども家庭センター執務室の拡張―改修設計
■介護サービス・障害福祉サービス基盤の整備
▽特別養護老人ホームの整備(21年度2カ所完成)▽障害者通所施設(高津区の地域生活拠点)の整備に向けた取り組み推進(23年度完成予定)
■市営住宅の建て替えや地域包括ケアシステムの構築に向けた市営住宅の活用推進
▽「市営住宅等ストック総合活用計画」に基づく建て替え▽大規模建て替えに伴う市営住宅用地の活用
■京急川崎駅周辺のまちづくり推進
▽民間開発の誘導と都市基盤の再編整備の推進
■小杉駅周辺における民間開発の誘導など
■新百合ケ丘駅周辺まちづくり方針の策定
■登戸土地区画整理事業の推進
■鷺沼駅前地区市街地再開発事業の推進
■柿生駅前南地区の再開発事業の推進
■公園緑地などの管理運営の推進
▽王禅寺四ツ田緑地などにおける保全緑地の利活用と保全の好循環の創出
提供:建通新聞社