神奈川県が2月9日に発表した2021年度当初予算案によると、一般会計2兆0484億1900万円は前年度当初比で7・6%の増加。投資的経費は3・8%増の1663億3200万円とした。その内訳は、公共事業費が2・4%減の518億9400万円、県単独土木事業費が2・1%増の352億5900万円、その他投資が9・2%増の791億7800万円。コロナ禍にあっても、県民生活に直結する事業は着実に進めるとして、風水害対策としての「水防災戦略」に560億円(20年度2月補正予算額を含む)、県立学校の耐震化をはじめとする「新まなびや計画」関連に280億円を投じる方針だ。また、事業見直しの一環として、足柄上合同庁舎車庫等新築工事やスポーツセンター球技場天然芝改修工事などを22年度以降に先送りするとした。
特別会計は4・4%減の2兆0474億8400万円、企業会計は0・5%増の1493億4300万円。
今回の予算案は、限られた人的資源や財源を新型コロナウイルス感染症対応に重点配分したのがポイント。その一方で、県民生活に直結する事業を着実に進めていくとしている。
そのうちの一つである水防災戦略は、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」予算を活用。21年度当初378億1753万円に20年度2月補正予算の123億2820万円を加えた501億4573万円は、県の防災・減災計画「神奈川県水防災戦略」の21年度計画額を上回る規模。主な事業の当初予算額は、河川の緊急対応56億5597万円、遊水地・流路のボトルネック箇所整備123億1639万円、海岸保全施設整備13億8888万円、港湾施設の防災機能強化2億2000万円、土砂災害防止施設整備60億6007万円、道路の防災対策の充実・強化112億2121万円(予算額はいずれも県土整備局分)。
耐震・老朽化対策、トイレ・空調設備整備などを内容とする県立教育施設の整備は、「新まなびや計画」に基づき進める。21年度当初予算額280億0484万円は、20年度当初予算額に比べて68億円多い。耐震対策に関する予算236億2233万円は横浜緑ケ丘高校など33校の調査・設計、麻溝台高校など46校の耐震補強工事、鎌倉高校など44校の老朽化対策に配分する。トイレ環境改善は27億9184万円、空調整備は4億4677万円とした。
社会教育施設では、県立図書館の再整備を進める。21年度は新館の収蔵庫への改修、本館の外壁改修・耐震補強に向けた基本設計をスタートさせる。新棟新築(20年度に着手済み)工事費を含めた予算額は20億6247万円となる。
自動車専用道路網やインターチェンジ接続道路、交流幹線道路網の整備などを展開する「かながわのみちづくり計画」関連には222億4066万円を計上。街路整備の新規として、座間南林間線や石田小稲葉線他を盛った。昨年末、関係自治体による協議会が発足した「神奈川と静岡の県境をまたぐ道路(伊豆湘南道路)」については、調査設計を進めることにしている。
23億8424万円を計上した県営住宅整備では、藤沢市の亀井野団地第4期など9団地466戸で建て替えを行う。
○寒川浄水場廃止へ検討
公営企業会計では、水道施設の管路更新に166億0849万円を計上した。このうち、106億2721万円は、1971年以前に布設された老朽管を更新する「老朽配水管リフレッシュ事業」に充てる。更新延長は62`。「大口径老朽管リフレッシュ事業」の予算額は21億4713万円で、基幹管路1`を更新。この他、災害協力病院など重要給水施設への供給管路耐震化などに38億3414万円を投じる考えだ。
水道事業関係ではまた、水道システムの再構築に向けた検討に着手する。寒川第2、第3浄水場の段階的な廃止に向け、必要となる設備や運用方法を探るもの。予算額は3576万円。
電気事業では、相模ダムリニューアルに備え、本体の実施設計、水理模型実験、地質・堤体調査などを実施していく。21〜22年度を期間とし、限度額2億9648万円の債務負担行為を設定する。
提供:建通新聞社